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[No.7756] ライという、けものがいた! 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/11/16(Wed) 23:40
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ライという、けものがいた!
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  あっしは何度も云うように、浅学菲才で、この年までライという、けものが、この世に存在することを知らなかった。けさ、武田泰淳夫人、百合子さんの「遊覧日記」を(読むというより)眺めていたら、その、けものが出てきて、大いにタジロイダ。

 いたのである、そのライが。「遊覧日記」という本のページのかげに隠れていたのだ。とはいうものの、そのライがひそかにこちらの様子をうかがっていたり、また、今にも飛びかかろうと身構えていた訳でもないのだから、読者諸氏よ、まずはご安心召されよ。と申し上げたい。(歯、歯、歯、歯。)このところ、王子先生の受け売りでやんす。(^O^)/

 だいぶ勿体を付けてしまったが、同書の巻頭「浅草蚤の市」というところを読んでの感想である。

 なんでも、彼女は夫の泰淳氏に死なれて、急に寂寥の念に襲われたのか、『遊覧』と称して、娘と連れだったり、一人だったりこれはその時の気持ち次第だが、処々方々へ出かけるようになった。

 蚤の市には、例の頼朝公13歳の時の頭蓋骨ほど珍しいものは勿論なかったが、あっしらでも、つい近寄って、仔細に眺めたりしたくなるようなものが、たくさん置いてあったらしい。

 入っていくと、そこを仕切っていた、「露店界の大御所」と云った感じの、六十がらみで「ちょっと凄みのきいた」おじさんが、しきりと高価な陳列品を売りつける。いずれも数十万という高額だが、気がありそうだとみるとすぐ、半額に下げたりする。

 ところで、百合子さんが目を付けたのは、売り場のド真ん中にあった大きなオスのライオンで、シロクマなんかよりずっと見栄えがする。ところが、奇態にも、このライオン、からだの前半分しかない、

 尋ねてみると、虫に食われて後ろ半分がダメになった。そこで、後ろ半分は、泣く泣くあきらめた。つまり、その時点で、元ライオンが、オンとおさらばして、ライになってしまったわけだ。おじさんは、それでも売って見せると、身軽になったライを檻に入れ、壁には大平原を描いてさあ、どうだと、攻勢に出たらしい。百合子さんは、あっしと似たり
寄ったりで、よっぽどヒマなのか、その後なんども、おじさんの許を訪ねている。

 もっとも、無責任な冷やかし客だから、ライだけでなく、シロクマやパンダ、トラなども見て回る。

 カナダで手に入れたというシロクマは、買い手が付いて売れたらしい。ほかでも、最初のころと比べてずいぶん展示品が少なくなっていたらしが、あっしはこれは売れたんじゃ
なく、はく製は高価だし傷みやすいので、止めたんだと思う。いかに金持ちが多いとしても、100万や200万のものがそう、バンバン売れるわけがない。

 ライのことは、何度目かの訪問の記事に、まだ売れ残っていたと書いてあった。それはそうだろう。虎は死しても、ではないが、残した皮が完全だからこそ、人間どもが珍重するのだ。これが、虫食いだったりしていては、だれも見向きもしないに決まっている。つまり、ライオンだから売れもするが、半分のライでは…。その後はわざわざ云うまでもあるまい。

 この市は、百合子さんの説明によると、どうやら大テントの下でやっているようだ。つまり、浅草の(たぶん六区と思われる)この地域では、いまビルの取り壊し工事が進んでいる最中で、この市は、新しいビルの出来上がるまでの、短い命ということになる。
 
 そこで、チョット気になった箇所があった。再開発後のことを彼女は、再開発後の浅草は「巨大な便所のような高層ビル」にかわると嘆いているが、あっしの亡父も、最新式のビルについて、ちょうど同じようなことを云っていたのだ。ただ、父の場合は、便所でなくそれが、コンクリート製のゴミ箱だったような気がする。     終わり
 

 ま、この人の筆に掛かると、この話に限らず、なんでも急に新鮮味を増し、フシギナ色合いを帯びてしまう。評論家の巌谷国士さんが、彼女に最大の賛辞を奉げるのにも無理は無い。


[No.7757] Re: ライという、けものがいた! 投稿者:男爵   投稿日:2016/11/17(Thu) 04:57
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Re: ライという、けものがいた!
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唐辛子紋次郎さん  おはようございます。

>   あっしは何度も云うように、浅学菲才で、この年までライという、けものが、この世に存在することを知らなかった。けさ、武田泰淳夫人、百合子さんの「遊覧日記」を(読むというより)眺めていたら、その、けものが出てきて、大いにタジロイダ。

>  この市は、百合子さんの説明によると、どうやら大テントの下でやっているようだ。つまり、浅草の(たぶん六区と思われる)この地域では、いまビルの取り壊し工事が進んでいる最中で、この市は、新しいビルの出来上がるまでの、短い命ということになる。
 
>  そこで、チョット気になった箇所があった。再開発後のことを彼女は、再開発後の浅草は「巨大な便所のような高層ビル」にかわると嘆いているが、あっしの亡父も、最新式のビルについて、ちょうど同じようなことを云っていたのだ。ただ、父の場合は、便所でなくそれが、コンクリート製のゴミ箱だったような気がする。     終わり

再開発で、おなじみの店がビルの中というのは残念なことですね。

広島でお好み焼きを食べに連れて行ってもらったことがありますが
そこはビルの中にできた屋台村でした。

案内してくれた先生も、昔とは雰囲気が変わったと少し残念そうでした。
 (広島大学で、砂かけ事件のあった頃です。 かなり昔)

実はシンガポールもどんどん変わる町で
地域が再開発されたら、昔の庶民の家々はなくなって、近代的なビルの中に
ホーカーズや土産物店が並んでいてガッカリしたことがあります。

毎年のように変わっていくシンガポール

このマーライオンも別の場所に移転されました。


[No.7759] Re: ライという、けものがいた! 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/11/17(Thu) 10:37
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  男爵さん、みなさん、こんにちは。

お馴染みの店がビルの中。ではないんです。再開発のために今まで建っていた古いビルをノックダウンし、一時空き地になっていたところへテントを張って、商売をしているのです。従って新築工事が始まれば、テントは取り払われるのです。

 夫の泰淳が1976年に他界。「遊覧日記」はそれからしばらくして刊行されたので、ここに出て来る話は今から30年くらい前のことになります。そのころ、ビルの中に屋台村などはなかったのでは。

 どうも、あっしは相変わらず文章が下手くそで、よくこういうことになる。大いに反省しなければ。

 ところで、シンガポール。むかしは新嘉坡とか星港とか書きました。2か月くらい前、下の子の一家が旅行したと云って、マーライオンの絵のついている、お土産のお菓子を呉れました。

 写真で見ると、マーライオンというのは、そうとう大きなものなんですね。(@_@;)


[No.7761] マーライオン 投稿者:男爵   投稿日:2016/11/17(Thu) 12:46
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マーライオン
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唐辛子紋次郎さん、みなさん、こんにちは。

勘違いですみません。

>  ところで、シンガポール。むかしは新嘉坡とか星港とか書きました。2か月くらい前、下の子の一家が旅行したと云って、マーライオンの絵のついている、お土産のお菓子を呉れました。

>  写真で見ると、マーライオンというのは、そうとう大きなものなんですね。(@_@;)

前のマーライオンは口から水も出なくて
世界三大ガッカリの一つなんて言われていましたが
新しい場所に移ったマーライオンは水も迫力があります。

私は、移転して成長したのではないかと思うのですが
大きさは変わらないという人もいます。


[No.7758] Re: ライという、けものがいた! 投稿者:安房守  投稿日:2016/11/17(Thu) 09:19
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武田百合子と言えば、大昔、「犬が星見た」を夢中で読んでシベリア鉄道を夢見たことがありました。


[No.7760] Re: ライという、けものがいた! 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/11/17(Thu) 11:05
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  安房守さん、こんにちは。早速のコメント、有難うございます。<m(__)m>

 あっしは読むのが遅いので、『犬が星見た-ロシア旅行』をふくめ、あまり本を読んでいません。彼女の略歴をみると、大正14年生まれにしちゃあ、ケッコウ海外へ行ってますね。ロシア、北欧、ドイツと方々へ行ってます。ところで、

 むかしは、シベリア鉄道と云うのが、若いひとには特に人気でしたね。でも、いざ決行となると、そうとう大変だったようです。あれだと、海路よりだいぶ安くで、ヨーロッパなどにも行かれたのでしょうね。