[No.449]
しろばんば
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/05(Mon) 21:32
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井上靖 「しろばんば」
しろばんばとは
冬が近くなったころに
夕闇がたちこめた空間を綿くずでも舞っているように浮遊している
白い小さい生きもののことである。
このしろばんばが現れる時刻になると、子どもたちの家からは
帰宅をうながす声がきこえてくる。
しかし
主人公の少年洪作を呼ぶ声はない。
彼と一緒に住むおぬい婆さんは、彼を好きなだけ遊ばせていたので
洪作は仲間がいなくなるまで遊んでいた。
監督者のいない自由な生活だった。
おぬい婆さんは、他界した曾祖父の愛人で
曾祖父は彼女の生活や家族の中での地位を安定させるため
洪作の母を分家させて、おぬい婆さんを洪作の養母として入籍させていた。
そのような理由で、洪作は豊橋に住む実父母や妹と別れて
5歳から12歳頃まで、伊豆半島の湯ヶ島でおぬい婆さんと暮らしていた。