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[No.640] ヒポクラテスの憂鬱 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/18(Sun) 07:50
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鈴木厚医師  文光堂

日本語の特長は、相手を気づかう気持ちが言葉の根底にあることで、これが日本人の美的な心情を表している。
日本人の奥深い心づかいなのである。
しかし最近、欧米流のストレートな言い方が大手を振るうようになってきた。
相手の気持ちを考えない自分勝手な言い方である。

医療現場において問題になるのは「癌の告知」である。
欧米人がストレートに癌を告知するのは、欧米が契約で成り立つ社会だからで、生命に関しては神との契約、医療に関しては医師との契約が基本にあるからである。
一方、日本において癌の告知が進まないのは、日本の医師が患者を気づかう優しい心を持つからで、世間が邪推するような医師の傲慢さによるものではない。

患者の心情を理解せず、癌の告知をつっけんどんにいう医師がいるが、これは間違いである。
癌の告知を無神経にやられたら、不幸な患者を増やすだけになる。

癌の告知には医師と患者の心のコミュニケーションが必要で、コミミュニケーションを透しながら、医師は患者にどのように告知するかを判断するのである。
初対面の医師に癌ですと言われたら、患者の心はどれほど傷つくかわからない。
医師は正直でなればいけないが、正直以上に大切なのは相手を気づかう心である。

何でも欧米の真似ではいけない。


[No.641] Re: ヒポクラテスの憂鬱 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/18(Sun) 07:54
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> 鈴木厚医師  文光堂

子どもがアメを欲しがるように大人はビタミンを欲しがり、子どもがおもちゃを欲しがるように大人は健康器具を欲しがる。

健康はいわずとしれた人間の願望であるが、この人間の願望につけ入るのが健康商法である。
たかが大人のおもちゃ産業ではあるが、医療人の敵である悪徳健康商法を許すわけにはいかない。

まず新聞1面の下段に注目してほしい。
ガンは治る。アトピーが消える。万病に効く。
このように刺激的な本の広告を見ることができる。
これはバイブル商法と称するもので、本を購入すれば自社製品の効果が書いてあり、この宣伝により商品を購入させようとする商法である。
被害者は新聞の広告、書籍、筆者の肩書き、高価な値段などの権威にだまされて商品を買うことになる。

昭和61年のゲルマニウムによる6例の腎不全死亡例が最も甚大な健康食品の被害であるが、このバイブル商法は絶えることがなく平成14年の中国製ダイエット食品事件へと連続している。
これらが無害であれば夢を売る商売ともいえようが、健康商法は毒にも害にもなるのである。
健康商法は人間としての良心を捨てれば楽に儲かる商売といえる。

健康食品に関する苦情は国民生活センターだけで3万件、その中でもダントツ1位はチラシ広告で有名なクロレラである。
クロレラ商法が巧妙なのは、病気にクロレラが効くと書けば薬事法違反で逮捕されるので、チラシには体験談を載せ効果を代弁させている点である。
しかも広告ではなく記事と思わせるところがあくどい。
クロレラの被害は、平均購入額が50万円という高価な値段に加え、副作用としての下痢、嘔吐、皮疹である。

健康食品はドクダミ、黒酢、霊芝など2000種類にも及ぶが、効果を示す科学的証拠はどこにもない。
効きそうな雰囲気だけである。
もし健康食品産業に良心があるならば、二重盲検法を第三者に委託して有効性を検討すべきである。
これは製薬会社も同じである。
栄養過多の日本人になぜ栄養ドリンクが必要なのか理解できない。
栄養ドリンク類は派手な宣伝で年間1800億円を売り上げている。
ユンケル黄帝液、エスファイトなどの効果も二重盲検法で科学的に比較すべきである。比較するのは牛乳におちょこ一杯の酒を加えたもので十分だ。
厚労相のお墨付きで機能性食品が売り出されているが、これも二重盲検法による検討はなされていない。
非科学的な雰囲気によるお墨付きで、本当に大丈夫なのだろうか。