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[No.7034] 高が周縁、されど周縁 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2015/04/18(Sat) 00:30
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      (1)

 ひとびとの関心は、とうぜん周縁より、中心に向かう。中心はつねに芳香を放ち、宝石のように輝く。しかし、


 周縁と思われるものにも、見失われがちだが、ちいさな輝きは存在する。

 あっしは、若いころ、古書に凝り、その装丁の美しさに魅了され、美しい装丁の本を夢中で集めたことがある。また、限定本に執着したこともあった。たとえば、詩集とか趣味的な本で、ナンバーの入ったものだ。

 この本は、50部限定で、ということは、世界中にたったの50部しかなく、あっしはその15番を所有しているのだという、ささやかな優越感に浸って喜んでいたりした。


 思えば、幼稚きわまる青春であった。こんなことが、貧乏学生の身でつづくわけのものではない。やがて、わづかな小遣いは底をつき、せっかく節約してせっせと集めた、僅かばかりのコレクションも、いつの間にやら、行方知れずになってしまった。

 その頃集めたものの中で、今でも覚えているのは、古代ローマの貨幣☆を集めた大型の手製本で、金色に彩色された指先ほどの大きさの貨幣の絵の一枚一枚が、白い厚紙に丁寧に張り付けてあり、今ならどこかの博物館で高価に引き取ってくれるかも知れない、などと空想し、ひとりで悔しがっている。

 神田の古書街にも、足しげく通ったころである。(つづく)

 ☆ あるいはローマでなかったかも知れないが、何しろ、大昔の話なので詳しいことは正直マッタク記憶していない。


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