[No.519]
Re: 加太こうじ
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/11(Sun) 19:32
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加太こうじが徴兵検査で丙種となったあと
山本たちと館山にあそび、山本との議論のうちに次のような考えをまとめた。
「芸術、非芸術という言葉は、芸術至上主義者やその残り滓をつけた、プチブルの考えである。同じ歌をテナーの藤原義江が歌うと芸術になり、芸者の市丸が歌うと芸術では
ないというのは、芸術主義者やプチブルが芸者や民衆を軽視しているから勝手にそうきめたのである。ここからが芸術、ここからが非芸術という区別はできないのに、自分に都合のいい芸術だけを認めているのだ。芸術はあらゆる階層の要求によって、形式や内容が決められている。ただ、大衆は娯楽と芸術に対する態度が明確でないから、楽しむことを通して芸術に接するのだ。ベートーベンやアンドレ・ジイドばかりが芸術ではない。浪曲も落語も流行歌も芸術であり、それが大衆に、どういう影響をあたえるかということが問題なのだ。今の日本では本来大衆のものであるべき芸術(浪曲や流行歌)が、大衆を盲目にするための支配階級の道具になっている」