[No.727]
池波正太郎「ドンレミーの雨」
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投稿日:2011/12/23(Fri) 15:32
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まず題がいい。ドンペリなら知ってるけど、ドンレミーは知らない。それでも、かまわない。
なぜか、ついつい想像力の羽を伸ばしてしまう。
表紙カバーに池波さんの、赤いコートを着て、黄色の帽子をかぶった西洋の老婦人の絵があって、すぐにでも本文を読みたい気持ちが、ますます強くなってくる。
本文に入っても、読者は期待を裏切られることはなく、著者の、すばらしい挿絵や、写真とページをめくるごとに出会うことになる。
またカラーの挿絵が、非常に美しい。こういう、時代小説の名手が、こんなバタ臭い絵を描くことができることに対しては、誰だって驚きと羨望を隠すことができないだろう。
この本を手に取った人は、天は二物を与えず、という言葉が、真っ赤なウソであることを立ちどころに悟るはずである。