私が読んだ本
[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

[No.848]  「小さな本の数奇な運命」 投稿者:   投稿日:2011/12/31(Sat) 22:34
[関連記事

 この本はこの部屋の掉尾を飾るのに相応しいかな、(*^_^*)なんて、考えながら書きこんでいます。

 訳注を抜かすと、たかだか70ページほどの小さな本です。しかし、本好きにはたまらない一本です。

 それは、色々テレビだのコンピュータなどが、出現してもこの本の主人公、じつは主人公は人間でなく「本」なのですが、かれが「まだまだやれる」と叫んでいるからです。

 この主人公は、あっしら老年者とかさなるような気もします。「まだまだやれる」のです。

 著者は、イタリア・テレコムの重役。古書のコレクターとしても有名だ。かれの書斎には、一萬弐千冊もの本がひしめいている。また、『本』職では、他の作品で国内の文学賞も受賞している。

 同書は、古書店の片隅で買い手を待つ本の一人語りで始まり、目出度く四番目の買い手、つまり、この本の著者が見つかり、幸せに浸るかれの一人語りでこの本も終わる。

 その間、持ち主の思い出、戦争を含む社会の変動の思い出がつぎつぎ現れて、ページを彩る。

 本という、批評家の賛辞や、美しい装丁の衣装をまとった華やかな存在の反面、売れないとリサイクル専門の段ボール屋行きの、厳しい人生へ向けた、著者の温かいまなざしが感じられる好著である。

 ちなみに、著者の本当の姿は、アナログ人間でなく、デジタル人間だそうである。

* アンドレーア・ケルバーケル著「小さな本の数奇な運命」


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 返信フォーム (この記事に返信する場合は下記フォームから投稿して下さい)
おなまえ※必須
文字色
書込暗証番号(必須 半角で7080を入力)
Eメール 公開または未記入   非公開
タイトル sage
URL
メッセージ  手動改行 強制改行 図表モード
画像File (←100kB程度まで)
暗証キー (英数字で8文字以内)
プレビュー   

- 以下のフォームから自分の投稿記事を削除することができます -
- 自分の投稿記事に返信(レス)が付いている場合は削除をご遠慮ください -

処理 記事No 暗証キー