ブッチーの続きです。
ブッチーはいつも私と一緒でした。オフィスへ出勤し、車で旅行し・・・ 今日のように犬も泊まれる宿のない時代でしたから、泊まるときは車の中と いうことになります。宿では私は誰より早起きして車で待っているブッチーの 排泄と散歩に出かけたものです。ドライブ旅行に出るときはいつも犬用の水と 餌が一番でした。
出勤したときのブッチーの定位置は私のデスクの下。私が立たない限り、誰 も気付かず、私が席を離れると起きだしてゆくへを見ているのでした。吠えも しなければ鳴きもしませんから誰も気づかないのです。
ところで、犬が嬉し泣きをし、泣きじゃくることがあるのをご存じでしょう か? ブッチーを訓練士さんのところに預けた話はすでに書きました。私は海 外旅行を計画したとき、この訓練士さん預けていけば大丈夫だと思って、羽田 に行く途中に預けて出発しました。訓練のときに預けた期間より短い日数です。
ところが、帰国して迎えに行った私を見たブッチーは訓練士さんのお宅の応 接室を駆けまわって落ち着かないのです。それで早々においとましたのですが、 車に乗っても私の横に来て泣いているのです。「ウシロ」と言っても後部座席 には行かず、私にすがりつくようにしてひーひー泣いているのです。それが泣 いたのだと気付いたのはかなり走ってからでした。 落ち着かないので排泄かと思って車を止めて外に出して、また車にもどった とき、ブッチーはいくらか落ち着いて、子供が泣きじゃくった後と同じように しゃくりあげているのを見て、私はようやく子供と同じように泣きじゃくって いたのだと気づいたのでした。
子供と同じように、しばらくヒクヒク言っていたあと、ようやく落ち着いて 私に言われたとおり後部座席に行ったのです。犬も人間の子供と同じなんです ねぇ。とにかく、こういう話は枚挙にいとまがありません。 長くなりましたのでブッチーの話はこのへんで止しましょう。
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