[No.111]
Re: 尋常小学校ものがたり
投稿者:男爵
投稿日:2013/11/17(Sun) 15:47
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綴り方について、この著者は母親とやりとりしたことを鮮明に覚えている。
五年生の頃だったか、めったに子どもの作品に目を向けない母親だったが
ある日のこと、気まぐれに息子の綴り方を見て
「今の綴り方はえぇなぁ。自分の思うとることを、そのまま書きさえすりゃえぇんじゃなぁ。そんなら、なんぼでも書けるがなぁ」
「そんなら、お母ちゃんの小学生の頃は。どげぇな綴り方を書きようたんなら」
「ふつうの言葉じゃいけんのじゃだった。そうじゃな、遠足ちゅう題だったら
我等勝加茂小学校児童一同三百余名は、校長先生外九名の教師引率のもとに、去る五月二日山形仙へと遠足を挙行せり。
当日天気快晴にして風柔く、空高く雲雀ののどかな囀りを聞く。道々の田畑の麦よく育ちて、緑の輝きは目も覚むるばかりなり。あちこちの農家の庭先には...
といったぐあいに、きれいな文章でなけりゃいけんのじゃった」
「ふぅん、えらいむつかしい綴り方だったんじゃなぁ」
おそらく、父も母も学校で書く文章は、こういった調子の文語体で書かされていたのであろう。
(父母が読めたであろう鴎外や一葉の文語体は、その子どもの時代に口語体の綴り方とともに遠くなっていった?)