若ものに読んでほしい「この一冊」
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[No.67] ヴォルコールの人獣裁判 投稿者:   投稿日:2010/05/01(Sat) 10:21
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戦後間もなく、物の無い時代、貧乏でろくに本も買えなかった
ワタクシは、市役所の 巡回図書館で借りて読んだ、
ヴォルコールの「人獣裁判」が今も強く印象に残っている。

ニューギニアの奥地で新種の生物が見つかる。これは人間か
それとも猿の仲間か…。動物学会に於いて、宗教界に於いて、
医学会において、そしてマスコミに於いて…侃侃諤諤の論議
が沸騰するが、結論が出ないまま、時日の経過とともに結論
する事が 忘れ去られようとしている。

ここに独りの記者が、妻の了解を得て、彼の地に渡り、その
生物のメスと交わり、子供をもうけ我が家に連れ帰る。
その子がある大きさまで成長すると、記者はその子を殺害し
警察に出頭する。彼の殺人罪が成り立つか、否か…。
そのためには、否応無くその生物が人間か、猿かの 判定が
迫られる。記者の狙いはそこにあった。

再び世界は 結論への議論が沸騰することになる。
あるとき、独りの動物学者が、その動物たちが 木の枝で
作った奇妙なものを所持している事を 発見する。
日常使用する 道具らしき形跡はない。いろいろ検討して
みるとどうやら「護符」のようだ。

その動物学者は、その生物に「神の観念がある」として
明らかに 未開の人間 と結論付ける。

人間と動物の違いとは何か。その基準をワタクシに教えてくれた
これは貴重な著作である。

記者には殺人の動機が酌量されて 刑罰が科せられなかったのは
言うまでも無い。


             瀬里恵


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