[No.576]
Re: 放浪記
投稿者:男爵
投稿日:2013/10/14(Mon) 13:40
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> 「放浪記」
> 1961年10月20日に芸術座で初演された舞台劇です。
>
> 林芙美子の小説「放浪記」をもとに
> 脚本・演出は菊田一夫、音楽は古関裕而、主演は森光子でした。
> 若き日の菊田一夫は文学青年をこころざし、サトウ・ハチローの世話になる。
> サトウ・ハチローは父の支援により自分の部屋をもっていて、そこに菊田らを同居させていた。
> 文学をこころざす彼らのところに、ときおり林芙美子もやってきた。
> 売れない文章を書きながら女給として働いていた林芙美子は
> ときおり一升瓶をさげながら、彼らの所に命の洗濯にやってきたという。
> 彼らの青春を振り返るとき、林芙美子のことが忘れられず
> 菊田一夫は彼女のことを舞台劇にしたのであろう。
菊田一夫は
1925年(大正14年)に上京。印刷工として働くかたわら、文学活動にふけっていた。
文京区小石川の伝通院の傍らに、詩人の渡辺渡、民謡詩人の山口義孝らとともに
家を借りて、「太平洋詩人」を出していた。
その家によく遊びにきたのは、サトウハチロー、小野十三郎夫妻、萩原恭次郎、林芙美子らであった。
そして、一番印象に残っているのは、サトウ八チロー以外は林芙美子だという。
林芙美子は神田の小川町のカフェで働いていたが、下宿の支払いがたまって帰りにくくなると必ず、彼らの家に泊まりに来た。
そういうときのお土産は一升瓶であった。
それも買えないときは、彼らが寄稿を依頼していた「太平洋詩人」に載せるための詩を一篇、まるで宿泊料の代わりに菊田に渡した。
伝通院には、徳川家康の生母・於大の方、千姫、佐藤春夫、柴田錬三郎、浪越徳治郎などの墓がある。
菊田一夫 人間の記録111 日本図書センター(1999)