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[No.133] Re: 尋常小学校ものがたり 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/21(Thu) 16:21
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> > 著者は岡山県の農家に生まれた。

著者は昭和2年に尋常小学校に入学した。

日本美術学校洋画科を経て、法政大学高等師範部を大戦勃発により繰り上げ卒業。

現役兵として砲兵連隊に入隊。任官とともに転科し、船舶部隊幹部として南方諸作戦に参加。
玉砕部隊の生き残りとして辛くも生還する。

復員後は中学。高校の美術教師、編集者を経て幼児の絵の研究に入り、日本保育美術研究会を主催。

だから、この本にはたくさんのイラストが描かれてあるが、当時の時代風俗を正確に反映していると思われる。
女子生徒の和服と洋服の混在している当時の様子などは興味深い。

この本の紹介を数回にわたって行ったが、最後に著者のあとがきの一部を紹介してこの一連の記事を終えたいと考えます。

   −−−−−

本書は、あくまでも昭和という時代を生きた者の証言という立場を貫いたつもりであるが、筆を進め、挿絵を描く間に絶えず脳裡を往き来した思いは、子どもの頃の義務教育が、国の将来にいかに大きく影響するかということと、長い歴史の中で培われてきた文化や伝統や、固有の風土を無視した教育は、決して堅実な発達を見せないということだった。

前者については、大戦前の日本の義務教育に誤りがあったとすればすぐ説明がつく。
後者については、たとえば西欧の資本主義国圏に見る民主教育は、各国が決して同じではなく、それぞれの国柄に合った独自の発達を見せていると言えば納得できるはずである。

戦に敗れて百八十度の転換を強いられた日本の教育も、もうそろそろ日本固有の文化や伝統を取り込んだ民主主義のあり方を考えてもよいのではないかと思う。
たとえば資源に乏しい日本の、物を大切にして無駄な消費を戒めた質素倹約の美徳も、先祖を尊び、両親を敬い、年寄りを大切にする美風も、国家主義でも軍国主義でもない、日本の風土にあった昔からの風習で、今の民主教育に矛盾するものではないと思う。

私は保護司として二十年余り、多くの非行や犯罪少年の更生を担当してきたが、最近特にこの思いを強くする。

本書が戦争を体験した人には、このうえない回顧と反省の書であってほしいし、戦争を知らない人には、昭和を理解するうえでの参考のひとつにでもなればと思い、また、教育に携わる人や、子どもの親である人には、これからの日本の義務教育を考えるうえでの、ささやかながらその資料のひとつにしていただければ幸いである。


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