沢田俊子:盲導犬不合格物語
訓練を受けたが、盲導犬になれなかった犬の話。 不合格犬とは、正式にはキャリアチェンジ犬、または不適格犬という。
盲導犬になるための子犬は、生まれて五十日ほどたつと パピーウォーカー(里親ボランティア)さんにあずけられる。 一般の家庭にあずかってもらい、町の様子や人間社会のルールを おぼえていく。
子犬のころに、うんとかわいがってもらうことも、人間との信頼関係を つくる上で、とても大切なことである。
一歳になったら、訓練所にもどって、盲導犬になるための訓練を受ける。
盲導犬は「しなさい」といわれたとき、排泄行為をする習慣がつけられる。 (外に出かける前に、トイレをさせるつもりで、「ワン、ツー、スリー」という) したがって、仕事中に排泄はしない。
盲導犬は、飼い主がレストランなどで食事をしている間も、テーブルの下でじっと待っている。
こうして訓練を受けても、盲導犬に適さないと判定されて、盲導犬になれなかった犬もいる。
ほえぐせのなおらない犬は盲導犬になれなかった。
「ゴー」(いけ)と命令されても、道が進めない危険な状態になっていれば 盲導犬は(命令にそむいて)立ち止まらなければならない。 いけという命令のまま危険な道を進もうとする犬は不合格となってしまう。
こわがりだったり、ネコが好きだったりして、盲導犬になれなかった犬がいる。
不合格になった犬は 介助犬や麻薬探知犬協会に連絡する。そこでテストを受けて合格すれば、介助犬や麻薬探知犬の訓練を受ける。 それで決まらなかったときは、その犬を育ててくれたパピーウォーカーさんに連絡する。 もし、パピーウォーカーさんが引き取れないときは、不合格犬が出たら飼いたいという家庭の中からその犬にもっともふさわしい家庭を選んで、そこと慎重に相談して、犬を見てもらい、よければ引き取ってもらう。 (こうして引き取られた不合格犬は、かしこい、やさしい、かわいいと大好評)
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