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[No.135] 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/23(Sat) 08:36
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斎藤美奈子:戦下のレシピ  岩波書店

この本の39頁に
高等女学校での木刀の稽古風景(昭和13年)の写真が載っている。
  昨日ある人から聞いた話では、奥さんが剣道五段で木刀を手元に置いているという人の話を聞いた相手が、では何かクレームを言うときは木刀を隠してからでないと(いけませんね)と笑って言った。

この本にはこんな詩も載っています。

女子軍事教練(詩・西条八十)
 軍国の風颯爽と
 吹け吹け、大和撫子を、
 可憐の瞳、黒い髪、
 かれらも銃を担うなり。
 教練の朝、よく晴れて、
 若き配属将校の
 号令の声ほがらかに
 遠く微笑む空の富士。
 帝都に敵機襲来の
 その暁を想うとき、
 銃後の花というなかれ、
 女も御国の兵(つわもの)ぞ。
 白き繊手に、フランスの
 危機を救えるジャン・ダルク、
 その面影を夢みつつ、
 昂然として、かれら行く。
 日ごろ嫌いな草原の
 毛虫芋虫、なんのその
 隊伍堂々踏みつけて
 かれらは歩む、一、二、三!
  (主婦之友 昭和十二年九月号)

別サイトには写真が載っている。
http://www.geocities.jp/abm168/GUNKA/gunka.html


[No.141] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/25(Mon) 12:28
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> 斎藤美奈子:戦下のレシピ  岩波書店

戦時中は物が少なく
とくに食料が大問題。

そこで節米です。

節米には大きく分けて三つの方法がある。
(1)増量法
(2)代用食
(3)献立法

まず (1)増量法

ご飯に他の材料を混ぜて、米の量を減らす方法。
いわゆる「混ぜご飯」「炊き込みご飯」で、混主食とも呼ばれる。
水の量を多くして全体のかさを増やした「おかゆ」や「雑炊」も増量法だ。

たけのこご飯、栗ご飯、釜飯などいまでもご馳走だが
戦争中はそういうものはほとんどない。

ご飯に混ぜる材料は、おいしさよりも栄養やカロリーが優先した。
加える具は、さつまいも、じゃがいも、里いもなどのいも類。
大豆、小豆、卯の花(おから)といった豆類。
とうもろこしや押し麦など、米以外の穀類。

米に野菜やいもを混ぜるのは「かて飯」といって
貧しい農民がもともと常食していた食事である。
それをわざわざ「節米料理」と呼んで大騒ぎするなど
農村の住民にはちゃんちゃらおかしかったかもしれない。

おしんやその家族が毎日食べていた食事を
大部分の日本人も食べるようになった?


[No.143] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/26(Tue) 05:43
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> > 斎藤美奈子:戦下のレシピ  岩波書店

> 節米には大きく分けて三つの方法がある。
> (1)増量法
> (2)代用食
> (3)献立法

つぎは (2)代用食

ご飯ではなくパンや麺を主食にすること。

三度の食事の1回分を別の主食で代用させれば
その分、米の消費量が減る。

小麦粉などで作った「すいとん」や「だんご」もこれに入る。

当時、一番安い主食は米だった。
米より安い代用食はジャガイモぐらいしかなかった。
家計の面からみれば、小麦粉で作るパンや麺などの代用食は高くついた。

主食になる食品の値段(1kgあたり)
 大豆粉     80銭
 コーンスターチ 56銭
 ひもかわうどん 50銭
 そば粉     50銭
 メリケン粉   40銭
 大豆   30〜40銭
 米       31銭
 ジャガイモ    8銭
   (主婦の友 昭和15年6月号)


[No.148] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/26(Tue) 18:54
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> > > 斎藤美奈子:戦下のレシピ  岩波書店
>
> > 節米には大きく分けて三つの方法がある。
> > (1)増量法
> > (2)代用食
> > (3)献立法

つぎは (3)献立法

いも、かぼちゃ、穀類など、満腹感のあるおかずを献立にとりいれる方法。

おかずだけで、ある程度満腹になるので、その分主食を食べる量が減り
米を節約できるはずである。

この本には
・うどんとベーコンのコロッケ
・胡桃ビーフ
のレシピが紹介されている。

こういう料理ができるうちは、日本もまだ食料に困っていない印象を受ける。
本当に食糧難になったら、とてもこんな献立はできないだろう。

 ・うどんとベーコンのコロッケ
    うどんにベーコンと残り野菜を入れて丸め
    コロッケのように揚げたもの。 
 ・胡桃ビーフ
    胡桃を刻み、すり鉢ですり、玉ねぎの半分をみじん切りにして炒め
    胡桃、玉ねぎ、玉子、塩をご飯によく混ぜ合わせる。
    大きめのどら焼きくらいの大きさにしたものをバタ焼きにする。

いつだったか寒い年に東日本で米作がよくなかったことがある。
外国から米を輸入した。 外国の米はチャーハン向きで評判が良くなかった。
私は、あの機会に米の代わりに、パン、ジャガイモ、蕎麦、うどん、豆、かぼちゃ等
を食べるようにしたので、今では米はなくても平気になりました。

米にこだわらず
かえって雑穀とか、いも類などを食べたほうが健康によいようです。


[No.149] Re: 戦下のレシピ 投稿者:あや  投稿日:2013/11/26(Tue) 20:51
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>
> まず (1)増量法
>
> ご飯に混ぜる材料は、おいしさよりも栄養やカロリーが優先した。
> 加える具は、さつまいも、じゃがいも、里いもなどのいも類。
> 大豆、小豆、卯の花(おから)といった豆類。

大豆や、さつまいものご飯は子どもの頃食べたことありますが、
それ以外はありません。
もっとも小豆は赤飯として食べました。

じゃがいも、里いも、卯の花なんて入れたんでしょうか?

>
> 米に野菜やいもを混ぜるのは「かて飯」といって
> 貧しい農民がもともと常食していた食事である。
> それをわざわざ「節米料理」と呼んで大騒ぎするなど
> 農村の住民にはちゃんちゃらおかしかったかもしれない。
>

田舎に疎開しましたが、そこでは白米ばかり食べていました。
白米と刺身が大好きだった母は、東京に帰ってきて、すぐ亡くなって
しまったんです。贅沢が死を招いたといまでも思っています。
帰ってきてから、好きな白米や、刺身などあるわけがなく、仕方がなかったと
思っています。
祖母は、その分長生きをして、私たち姉弟を育ててくれたのです。
貧しい時代でした。


[No.150] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/27(Wed) 05:50
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あやさん

> > ご飯に混ぜる材料は、おいしさよりも栄養やカロリーが優先した。
> > 加える具は、さつまいも、じゃがいも、里いもなどのいも類。
> > 大豆、小豆、卯の花(おから)といった豆類。
>
> 大豆や、さつまいものご飯は子どもの頃食べたことありますが、
> それ以外はありません。
> もっとも小豆は赤飯として食べました。
>
> じゃがいも、里いも、卯の花なんて入れたんでしょうか?

ここに紹介してあるのは上品な例で
本当に食糧が不足したときは
そんなに多くのものが手に入らないから
もっと悲惨だったと思います。

この本は本日返すから
大急ぎでほかのことを追加報告しておきます。

代用肉としての「むき身」

肉の代わりに、貝のむき身を使うということです。

むき身と里芋のカレーライス
 海岸の近くに住む人なら、貝も比較的容易に手に入るでしょうけど....

この本には貝として
あさり、はまぐり、しじみ
あおやぎ(バイ貝)や平貝(タイラギ)などが紹介されています。

戦前の東京湾や大阪湾には
ムール貝(ムラサキイガイ)に似たイガイがたくさんいて地元の人だけ食べていたそうです。
平時には商品価値がなかったと書いていますが
いまは積極的にムール貝でないこの近縁の貝を
ムール貝の代わりに料理に使っているようです。

むかし中学生のクラブで、海に採集旅行に行ったことがあります。
民宿で、海産物のカレーが出たときには感心しました。
肉の代わりに貝が入っていたのです。
 シーフードカレー  シンガポールではインドのフィッシュヘッドカレーがある。


[No.151] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/27(Wed) 06:14
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> ここに紹介してあるのは上品な例で
> 本当に食糧が不足したときは
> そんなに多くのものが手に入らないから
> もっと悲惨だったと思います。

肉も魚も手に入らなくなったら
東南アジアの某国のように
昆虫(ゲンゴロウ、カナブン、バッタ、イモムシ、セミ)なども料理して食べるし
ネズミや犬猫も(蛇も)と書くと、おいおいと言われそうですが
本当に何もなくなってきたら、そういうものを食べる人も出てきそうです。

映画の「きけわだつみの声」の中で
ジャングルで食べるものがなくなったのとき、兵士が蛇をつかまえて
皮をはいで生で食べる場面がありました。それだけ印象に残っています。

だいぶひんしゅくものを書いてしまいましたが
道ばたの雑草の利用の話です。

野菜を乾燥させて保存しておくと、新鮮なビタミン源がどうしても不足するので
注目するのは、道ばたの野草の利用です。

・野蒜のみそ汁

・みそ汁に向くもの  クロバー、はこべ、あしたば

・アカシアの花の油炒め

・油炒めに向くもの  れんげ草、なでしこの若芽、いのこづち、すぎな、あまどころ

・あかざ 野草の中で一番おいしく栄養価が高い。ほうれん草の代わりに茹でておひたしに。

・すべりひゆ 茹でて酢味噌で和える。

・榎の葉、葛の葉 熱湯にくぐらせ干して粉にする。小麦粉の二割くらい加えてパンに焼く。

・使った茶殻をいれて炊き込みご飯にする。 茶飯


[No.154] Re: 戦下のレシピ 投稿者:あや  投稿日:2013/11/27(Wed) 18:16
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「うーん!」と唸ってしまいました。

男爵さんの博識にはかないません。読んだだけで終わりです。

昨日、近所の方が作られた唐辛子がものすごい量、ドアのノブに
下がっていました。
「激辛です。鑑賞用にしてもいいし、食べてもいいです」みたいなことが
書いてありました。
半分、料理上手のお宅のドアノブに下げてきました。使用方法を聞いて
みようと思っています。

私は壺に生けて眺めています。


[No.155] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/11/27(Wed) 20:09
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あやさん

> 昨日、近所の方が作られた唐辛子がものすごい量、ドアのノブに
> 下がっていました。
> 「激辛です。鑑賞用にしてもいいし、食べてもいいです」みたいなことが
> 書いてありました。
> 半分、料理上手のお宅のドアノブに下げてきました。使用方法を聞いて
> みようと思っています。

寒くなったら
靴下の中に入れてはけば
ぽかぽかするそうです。(秀吉の軍の兵士が、トウガラシをそういうふうに使うため、朝鮮半島に持っていったという説があります)

食べないで、そんな使い方をしたら
くださった方に怒られそうですが。

あるいはたとえば
漬け物の中に入れておけば
いたみが少なくなると思います。
辛い唐辛子は食べないで。 防腐剤の変わりに。


[No.230] Re: 戦下のレシピ 投稿者:男爵  投稿日:2013/12/31(Tue) 17:16
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この部屋も本日限り。


> 野菜を乾燥させて保存しておくと、新鮮なビタミン源がどうしても不足するので
> 注目するのは、道ばたの野草の利用です。

> ・油炒めに向くもの  れんげ草、なでしこの若芽、いのこづち、すぎな、あまどころ

テレビで見たのですが
枯れたススキの穂をカリッと油で揚げたものを食べる場面があり
みんな美味しいと食べていました。

> ・あかざ 野草の中で一番おいしく栄養価が高い。ほうれん草の代わりに茹でておひたしに。

韓国の民宿で
カボチャの葉を干したもので、ご飯や肉を包んで食べたことがあります。(サンチュの代わり)
このカボチャの葉は一度茹でてから干すのだそうです。

> ・榎の葉、葛の葉 熱湯にくぐらせ干して粉にする。小麦粉の二割くらい加えてパンに焼く。

干しブドウを入れるパンもあるから、いろいろ加えてパンを焼くのもいいかもしれません。

> ・使った茶殻をいれて炊き込みご飯にする。 茶飯

これは北杜夫の母親の輝子がしていたようです。

北杜夫の兄嫁などは妊娠したときカルシュウム補給だといって
鶏の卵の殻を砕いて食べさせられたとか。 消化できず無駄なことと北杜夫が書いていました。