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[No.15618] 野菜のはなし 投稿者:男爵  投稿日:2010/08/12(Thu) 07:13
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技報堂の本です。
技報堂は技術書を多く発行する会社ですが
はなしシリーズは、動物、植物、パン、酒、宝石など広いテーマをあつかっています。

さて
タマネギは葉?茎?根?
たとえば
トマトは果実を食べますが、葉や根を食べません。
ゴボウは根を食べ増すが、葉はあまり食べません。
ハクサイの食べる部分は葉です。
まれには
果実を食べるはずのピーノンの葉を食べてみたり
ダイコンの若い葉は捨てるのはもったいないし、おいしいと言われたりしますが
おおむね食べる部分は決まっています。
果実
 トマト、キュウリ、ナス、ピーマン
葉菜
 ホウレンソウ、コマツナ、レタス、キャベツ、ハクサイ
根菜
 ダイコナ、ゴボウ、ニンジン

タマネギはどこを食べているのか
 根菜ではありません。 茎でもありません。
 タマネギは葉菜なのです。
ふつうの植物を見てもわかるように、葉は茎から出ています。
一方、根もまた茎から出ているのです。
だから茎はどこにあるか探して見ると見当がつきます。
タマネギを外から見ても茎らしいものが見えませんが、縦に二つに切ってみると
一番下の部分に高さ5ミリメートルもない細い茎が見えます。
そこから舌へ根が発生し、上にはタマネギの食べる部分が連なっているから葉とわかります。
畑のタマネギにはネギに似た緑色の葉がついているから不思議だなと思うかもしれませんが
その葉の続きの葉鞘といわれる部分が厚くなって球状になったものなのです。
ほかにも茎の見えない野菜はずいぶんあります。ホウレンソウ、レタス、キャベツ、ネギなどは、縦に切ってよく見るとタマネギのような短い茎を発見することができます。

カリフラワー、ブロッコリーは?
 根や果実ではないことは確かですが、さりとて葉でもない。
 食べるところは花の蕾なのです。
 だから花菜なのですが、分類が多すぎると面倒なので、ナバナやハナニラなどとともに葉菜の仲間に入れています。


[No.15619] Re: 野菜のはなし 投稿者:男爵  投稿日:2010/08/12(Thu) 08:25
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野菜はみんな奇形
 (地球上に人間の先祖が現れてから今日にいたるまで、考古学の対象から歴史学の対象としてみれば)
人間は家畜を飼い、野生の植物から選んだ種子をまき、植物を栽培することを覚えました。
それから今に至るまで、作物の改良が続けられ、人間が利用する部分を最も効率よく生産する形に、作業を変えてきました。
 作物を変えるといっても、工業製品のように、人間が勝手に新しい植物を作ることはできません。
植物の改良は、植物の中に自然に生ずる「変わりもの」を見つけ、それが人間にとって好ましいものであれば、それを選び出し、増やし、その中からまた変わりものを見つけて選んでいくという、気の長い方法で行われてきました。
現在、栽培されている野菜の多くも、長い歴史のなかで変わりものを選んで改良されたもので、自然から見れば奇形といえるものばかりです。

作物にはそれぞれふるさとがありますが、ふるさとに住んでいたはずの親戚がみな絶滅して、今となっては、ふるさとがどこであったのか、はっきりしないものもあります。
トマトはその点、幸せです。アンデスの山々には、トマトの祖先の子孫が、昔のままに今でも生活しています。
トマトの原産地はペルーですが、栽培するようになったはメキシコが最初であろうといわれています。
栽培トマトの元祖はセラシフォルメと呼ばれトマトで、現在の栽培トマトと同じ種です。

トマトの例のように、他の野菜も、その先祖からみれば、すっかり奇形化されたものになっています。そして自然の土の中にある養分だけでは、育てられないような大きなものになっています。
また、栽培という保護された環境に長いこと慣れ親しんできたために、自然の難しい条件のなかでもっていた病気や虫に強い性質を失ったものもあります。
雑草のようにたくましくといいますが、改良を加えられた野菜はこれとは反対に、深窓に育ったお嬢さんのようなもので、自然に帰してやっても、たくましい雑草に打ち負かされ、病気や虫に犯され、まともに育つことができません。

     ーーーーーーー

ダーウィンの進化論を応用した人間の工夫で生まれた、今日の野菜。
人間の手がかかったから栽培され続けてきた野菜も
もし人間のいないところにおかれたら、他のたくましい自然の生き物との生存競争に敗れて滅びてしまうかもしれない。

環境が変われば、それまで繁栄していた生き物が滅びて、かげにひっそりしていた生き物が代わって発展していくという現象は、地質時代にはよくあったことであろう。
中生代の末期に、恐竜が絶滅して、小さなほ乳類が仲間を増やしていった歴史を思い出しながらこれを書いています。
地球環境の変化で、生き物の種類が大きく変わったり、進化を繰り返していった生物の歴史を見渡すと
人間の生活環境という、自然とは違う環境の中で、生物の入れ替わりがあっても不思議ではないわけです。


[No.15620] Re: 野菜のはなし 投稿者:   投稿日:2010/08/12(Thu) 09:06
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男爵さん こんにちは

>トマトはその点、幸せです。アンデスの山々には、トマトの祖先の子孫が、昔のままに今でも生活しています。

男爵さんのお好きな馬鈴薯も同じですね。元祖がそのまま残っています。
(じゃがいもと入力しても馬鈴薯に変換してくれないことに気がつきました。)

  紫竹の(小澤)


[No.15621] Re: 野菜のはなし 投稿者:男爵  投稿日:2010/08/12(Thu) 10:37
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紫竹のさん こんにちは

> >トマトはその点、幸せです。アンデスの山々には、トマトの祖先の子孫が、昔のままに今でも生活しています。
>
> 男爵さんのお好きな馬鈴薯も同じですね。元祖がそのまま残っています。
> (じゃがいもと入力しても馬鈴薯に変換してくれないことに気がつきました。)

「昔の名前で出ています」みたいなものですね。
  神戸にいるときゃ..○○○と呼ばれたの。
いま朝ドラマの漫画家水木しげるは
紙芝居作家だったときペンネームが必要になって
たまたま自分のものであったアパートが神戸の水木町にあったから
水木とつけたそうです。

それはさておき
トマトもジャガイモもタバコも南米産ですね。
この本にはジャガイモは地下茎と書いてありますが
われわれがどの部分を食べているのかは、あんまり意識したことはないし
考えながら食べる必要もありませんが
研究者や野菜をつくる人たちにとっては
作物のことを知らないと品種改良もできないわけですね。


[No.15622] Re: 野菜のはなし 投稿者:男爵  投稿日:2010/08/12(Thu) 20:12
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著者の学生時代の作物の教科書に
「各種食用作物の反当収量ならびに熱量の比較」という表があって
その中に一人一日1800カロリー必要とした場合の反当可養人口数という値が示されていた。
それによると
 10アール当り水稲1.64人、小麦0.68人、トウモロコシ0.61人
 ダイズ0.75人、サツマイモ1.55人、ジャガイモ0.9人
であった。

もちろんカロリーだけで判定するのはひとつの判定であって
ビタミンとか蛋白質とか、いろいろな観点からの比較があると思いますが
サツマイモは米と同じくらいカロリーがあり
ジャガイモも小麦よりカロリーがあるということがわかります。

この教科書当時よりも品種改良や栽培技術の向上で
反当り収量も大幅に増大し、したがって反当可養人口数も飛躍的に増えたわけです。