[No.16079]
古田武彦「盗まれた神話」から
投稿者:男爵
投稿日:2010/11/10(Wed) 13:18
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瀬里恵さん、みなさん こんにちは
古田武彦・古代史コレクションの3
盗まれた神話
記・紀の秘密
この著者は東北大学法文学部日本思想史科の卒業で
ユニークな本である。
難解で私にはむずかしい。
柿本人麻呂の歌
「大君は神にしませば天雲の雷 の上に廬(いほ)らせるかも 」
の雷(いかづち)は、通説では大和の明日香村の雷丘とされているが
この著者はそうではなく
九州の福岡県前原市と佐賀県との間にある背振山脈の第二峰、雷山(らいさん)のことであると書いている。九州の雷山は高さが955メートル(明日香村の雷丘は20メートル足らず)
すなわち、この著者によれば
「筑紫の君(九州王朝の代々の王者)はすでに死んで神となっておられますから、今は山のほこらを『いほり』として安らかにすごしておられます」となるというのである。
いわゆる東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)にある
今(天正5年、1577年)から2500年前に、安日彦(あびひこ)・長髄彦(ながすねひこ)たちが
稲を筑紫から東日流(つがる)へもってきたという記述は本当である。
炭素同位元素の測定でも確かめられる。
と、著者は東日流外三郡誌を高く評価しているが
この書物は偽ものであるというのが現在の定説である。
ただこの中で「古事記」と「日本書紀」にともに
天孫降臨を述べるところで、随伴した三種の神器の一つとして「草薙剣」と書かれてあると述べている。
日本武尊説話の段階で名づけられたことになっているこの名前が、天孫降臨の段階で「草薙剣」と呼ばれているのは、一見奇妙である。
おそらく天照大神も瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)も天孫降臨のときには、この剣の「未来の名前」など夢にも知りはしなかっただろうから。
しかしここでは、後代名称の「草薙剣」でもってそれ以前の名の天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と置換して記述しているのである。
だが、これは一般には史書の上で必ずしも不思議な用法ではない。
「日本の神武天皇」とか「中国の孔子」とかいって平気なのと同じであるから。
ここは、ああそうなのかと思って読みました。