みなさん
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ばん茶が三度三度でてくる。 > ばん茶とほうじ茶の違いがよくわからない。
小川誠二:日本茶を一服どうぞ
この本には以下のように書いてあります。
今、番茶というときは、下級もしくは並みの、安価な煎茶を指すのが通例です。 しかし本来、番茶は、質の落ちるお茶の総称ではありません。 むしろ、生活に密接な大事なものだと思います。
強度に根ざした番茶は、毎日のご飯、土地の嗜好にぴったり合うもの 共にあるものとして、つまり飯茶であり、伴茶であったのでしょう。
京都の、惣菜を指す「おばんざい」という言葉から推して 日常的な身近な飲み物が「おばん茶」であると考えます。 そのため作り方、飲み方とも多様で、ほうじ茶を番茶と呼ぶ例も少なくありません。
一般的に番茶と呼ばれるものについて述べます。 三番、四番摘み期の硬い葉を使うもの、一番茶を摘んだ後出た芽や 摘み残しの葉を使うものなどがあります。 遅い時期の茶ゆえ、晩茶だともいわれます。 製法は煎茶と同じで、葉が硬い分、蒸しと揉みを強めにするくらいの茶です。 遅摘みの葉は、旨み成分が減りタンニンが多くなるため、甘みが少ない、 すっきりした味になります。 香りは、煎茶ほど豊かにはなりません。茶葉の形も粗く不揃いです。
次に、地方に伝わる番茶のいくつかを紹介します。 京都茶は、古くは玉露の残り芽や葉を釜炒り製にしたもので 現在は煎茶・玉露の摘採り後に刈った芽葉を、蒸し製にします。 岡山の美作番茶は、土用の頃枝ごと狩り、煮てから茎は裁断し むしろの上で日干しにします。 島根の伯太番茶は、硬い枝葉を夏に刈り取り、煮るか蒸して少し揉み 天日で乾かします。
特殊な地方ばん茶として、バタバタ茶(富山県東北部)、ボテボテ茶 (島根県松江市ほか)、ブクブク茶(沖縄県那覇地方)、碁石茶(高知県吉野川上流)、 などがあるが省略します。
つぎに ほうじ茶の説明です。
ほうじ茶には、番茶や煎茶を用います。 下級品の番茶を使うのが、もっとも普通のほうじ茶ですが 中には煎茶や玉露の仕上げ加工で選別された、粗い葉の番茶や、茎茶を 使うものもあります。 特に中級品の煎茶を焙じて作る場合もあります。
いずれの場合も、原料とする茶葉は、茶の粉をよく除き、十分乾燥させて 一昼夜ほど寝かせてから焙じます。 焙じるには、焙じ機か胴あぶり式乾燥機を使い、170度内外で 5分から10分ほど、きつね色になるまで炒ります。 ほうじ茶の香りは失せやすいため、一度に大量に処理することはしませんでしたが 昨今は、機械によるライン化と、香りを保持する技術の発達で 一挙に大量生産するところもあります。
家庭で焙じてほうじ茶を楽しむ 昔は、家ごとに焙烙があり、それぞれに焙じて飲んだものです。 また、地方では、ほうじ茶を番茶と呼んで、日常用いるところが多く 地方に伝わる番茶には、飲むときに焙じる場合も多いのです。
焙烙が常備されていた頃は、煎茶や番茶が古くなったり、湿気てしまった時 ほうじ茶にして飲むこともよく行われました。 焙じて香りや風味を復活させて楽しみ、お茶を無駄にしない生活の知恵です。
ほうじ茶は、茶褐色をして強い香気を持ってはいるものの、味はまろやかで 軽い飲み口です。甘みがあり、渋みはほとんどなく、実にさっぱりしています。
この味わいは、加熱処理することから生じるのです。 アミノ酸やグルタミン酸などが熱で香りに化けたといえるでしょう。
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この本を読む限り 本来の番茶は煎茶と同じく、摘み取ったお茶の葉を蒸してつくるものである。 ほうじ茶は、そうしてつくった番茶を焙じてつくる。 高温で熱処理するのが、ほうじ茶の特徴である。
ところが、われわれの周りの番茶もやはり焙じているから これは、定義からすれば、ほうじ茶ということになる。 本来の番茶とは焙じていないものをさすらしいが われわれの飲む番茶はみな焙じてあるから ほうじ茶と呼んでさしつかえないのだろう。
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