冬の食卓 いま・むかし 
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[No.188] Re: 京のおばんざい 投稿者:男爵  投稿日:2013/01/14(Mon) 08:34
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12月の巻

堀川ごんぼと金時にんじん

 京都特産の冬の野菜は、聖護院かぶらに聖護院大根、中堂寺大根、
九条ねぎ、壬生菜、すぐき...など、まだあって、堀川ごんぼもそうである。

 秀吉の死後、聚楽第はさびれて、お堀へは、近所の人がごみを捨てるようになった。
そしてある日、気がつくと、そこにごんぼが生えていた。
太うて、まん中がほんがら〈空洞〉になっているごんぼである。
地名をつけて堀川ごぼう、また聚楽ごぼうともいうた。

 堀川ごんぼは、まん中の空洞へかしわを詰めたり、おさかなのすり身を詰めたりして
焼く。長いままで煮ふくめたのを、輪切りにして盛り合わすと、これは料理めいた
ものになる。

 お煮しめには、ごんぼだけを分厚う切って、じきがつおでからっと炊きあげる。
太うてもやわらかこうて、それに、しこしこと風味がある。
はじめに水炊きをして、やわらかこうなったら、かつおを入れて味をつけるけれど
そのあいだ中、ぷんぷんとにおうている。

 お煮しめにはまた、金時にんじんも欠かせない。上鳥羽あたりで作られている。
赤い赤いにんじんである。金時さんのように赤いので、その名がついているのんやろう。

 このにんじんは、かやくご飯にも、かす汁にも入れるし、おなますの色どりにも、
もみじおろしにもまぜる。真紅の色がはなやいで、だいだい色の西洋にんじんとは
また、別のおもむきがある。

 やお屋さんの店先が、お菜の緑やらおだいの白、にんじんの赤やらで
お花屋さんのように色鮮やかになってくると、それは冬のあかしである。
そして、台所をあずかる主婦にとっても、品定めがしやすい。

 けれど、堀川ごんぼは、もうめったに見かけんようになった。
作る人も、作る場所も減ってしもうて、いまはわずかに洛北・一乗寺のあたりで
作られていると、耳にした。そのごんぼは、もはやわたしたちの暮らしとは無縁の
もので、高級料理の珍味になっている。

 京の土に生まれ育った堀川ごんぼを、もういっぺん、おぞよにしてみたい。


昔たくさんあって今少なくなったものとしては
ニシンやハタハタを連想するが
それは乱獲や気候変動によるのだろうか。

堀川ごぼうがあまり見られなくなったのは
栽培地が宅地化されたりして減ったためか。
あるいは、特殊なごぼうゆえ消費者の関心が少なくなって売れないから
作らなくなったのだろうか。

ここで、
「ごんぼ」とは「ごぼう」のことだが
東北には「ごんぼをほる」という言葉がある。
これは. だだをこねる、ごねるということである。
「わらしがごんぼほる」、「ごんぼほりわらし」とよく言われますが
子どもがだだをこねることをこう言います。

ほかにも東北の方言として
「今日は留守番で とぜんだ」など「とぜん」ということばがあるが
これは徒然草から連想するように
何もすることがない、暇だ、淋しいなどの意味に使われる。
東北以外にも高知や大分県でも使われるという。

とぜんなか (熊本の方言)
  さみしい。退屈だ。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/dialect/3383/m0u/

かつて都で使われた言葉が次第に地方に伝わり
時代がたつとともに
都ではあまり使われなくなったのに、地方に生きている言葉がある。

ほかにも
伊達〈宮城県地方〉の言葉で
  しょうしい  「恥ずかしい」の意味
  漢字を当てると「笑止い」
というのがあります。

これは長野県にもあるみたいです。
http://homepage1.nifty.com/zpe60314/kotobahogen20.htm


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