[No.1114]
国語と日本語の違い
投稿者:乃木農
投稿日:2015/11/11(Wed) 10:25
[関連記事] |
日本語教室ボランティアをするにあたって、私は国語と日本語の違いについてはっきり認識していなかったが、色々勉強し体験していくうちに両者は別物であることがやっとわかった。
日本国内で、日本人の親元で生まれ育った子供は、小学校に入る時すでに多くの語彙を修得している。
そうした子供たちが、学校に入学して、すでに乱雑に頭の中に入っている多くの文言に関する知識を整理しながら、更に新しい知識を補充していくのが、国語。
一方、日本以外の国で、日本人でない両親の元で育った子供、あるいは成人には、 日本語の知識が全くない。この状態からから学ぶのが、日本語。
日本語教育と国語教育はともに日本語を教えるという点では共通しているが、日本語を外国語として教えるか、母語として教えるかという点で決定的な違いがある。
また、日本語習得に当たって、日本人の目から見たら実に簡単に思えることでも、外国人から見た場合、とても難しいことがしばしばある。
例えば、日本語初級テキストを300時間履修した人でも、小学校1年の国語の教科書を完全に理解するのは難しいといわれる。
だからといってその人が小学校1年生レベルの知能しかない訳では決してない。
我々のボランティア教室は小学校の図書室を会場としているが、ある中国からの学習はそこの図書棚から低学年用(何年生用か忘れた)の国語教科書を抜き出して読み、分からない所を質問する形で勉強していた。
内容は日本の小学生ならだれでも分かることばかり。
後で聞いてみると彼は母国で薬学を学び理学博士の称号を持ち、学会に論文も多数発表しているとのこと。
たどたどしい、稚拙な日本語しか話せないからといってその人を低く見てはならないと日本語講座の先生から鋭く釘を刺されたのを思い出す。