[No.16206]
西脇巽「石川啄木 東海歌二重歌格論」
投稿者:男爵
投稿日:2010/12/03(Fri) 11:48
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井上信興:野口雨情そして啄木
> > この著者も医師である。
> > 広島県出身で、戦前函館に住み、盛岡で学生生活を送ったから
> > 石川啄木研究に入るきっかけとなった等を、本の後ろの履歴書の項目に書いている。
> >
> > すでに紹介した啄木研究家西脇巽とはライバル関係らしく
> > 互いに相手の本を批評しあい、自説が正しく、相手の説は根拠がないと酷評しあっているのがおもしろい。
井上信興
広島県出身、戦前函館に住み、盛岡で学生生活を送った医師
西脇巽
福井県出身、小学4年から高校卒業まで函館に住み、弘前大学卒業の医師
この二人は函館に住んだ時期は違うが、明治のころ啄木の散歩した大森浜を議論している。
大学の図書館に
西脇巽「石川啄木 東海歌二重歌格論」(2007)
を見つけたので読んでみました。
> > ・小説「漂白」の原風景はどこか
> > 西脇巽の「住吉海岸説」は根拠がわからず説得力はない。これに対して、著者の「新川河口説」は明確な理由を示しているから読者にも了解されるだろう。
>
> 井上は砂丘のあったころの昔の大森浜を知っているから
> 砂丘などないという西脇の論考を頭から否定している。
啄木の東海の短歌の場所を
大森浜に限定して、それ以外の海岸説を否定しているのは
井上信興と西脇巽である。ほかの研究者は大森浜以外の説らしい。
ところが
西脇巽の「住吉海岸説」
と
井上信興の「新川河口説」
は互いに相容れないものらしい。
啄木当時の大森浜や小説「漂白」の描写から
説明する西脇巽の「住吉海岸説」のほうが
私には納得できそうなのだが.....
まあ、そう感じるというくらいだが。
いろいろ説があって、決定的な証拠などないから
それぞれ楽しめて読者にはけっこうなことだが
当の本人にとっては眠れなくなるくらいの問題で
生きるばねになっているかもしれない。