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士魂錬成

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2007/9/14 14:31
ほのぼの  半人前   投稿数: 33
士魂錬成《=武士の魂を練磨育成》

「皇道宣揚《=天皇の政治の盛んな様を世の中にしめす》 士魂錬成」と上書きされた吟詠教本が残っている。 大東亜戦争が始まった昭和16年以降、職場や学校で、士気を鼓舞《しきをこぶ=意気込みを奮い立たす》するために壮んに詩吟が朗詠されていた。 その時の教本である。
当然、勤王の志士《=身をとして天皇に忠義を尽くすと 高い志をもっている人》やいわゆる忠臣による、起承転結《きしょうてんけつ=注1》 七言絶句《=注2》の漢詩が多いが、
ここでは、伝承という意味から、大東亜戦争に関係する、ある意味では珍しい漢詩を紹介したい。 

「大詔奉戴 」《=天皇のみことのりを謹んでいただく》    
    塩谷 温(東京帝国大学 名誉教授 文学博士) 作

正是国家危急秋   正《まさ》に是《これ》国家危急の秋(とき)
詔書宣戦討仇讐   詔書戦を宣して仇讐《きゅうしゅう=あだ敵》を討つ
皇民一億心如鉄   皇民《天皇の統治する国の民》一億心(しん)鉄の如し
不滅米英死不休   米英を滅ぼさずんば死すとも休(や)まず


「大東亜戦争」《=太平洋戦争》   
 高瀬武次郎(京都帝大 名誉教授 文学博士 皇教会長) 作

発揚威武是斯時   威武《いぶ=武力や威勢のある》を発揚するは是この時
撃滅米英興亜基   米英を撃滅するは興亜のもとい
億兆決心如鉄石   億兆《=多くの人民》の決心鉄石の如く
神明加護復爰疑   神明の加護《=神様が守ってくれる》またなんぞ疑わん

「アッツ島」    高瀬武次郎 作

二萬米兵囲我営   二萬の米兵我が営を囲む
敢然玉砕二千兵   敢然《かんぜん=おもいきって》玉砕《注3》す二千の兵
七生報国比楠氏   七生報国《=永遠に国につくす》楠氏《注4》に比す
日本精神万国驚   日本精神に万国驚く

国の為 玉と砕けし 武士の 御霊《みたま=たましい》はとは《=永遠》に 生きざらめやも《=生きているであろう》

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私の兄(規秀)は、愛知県半田市の中島飛行機に、動員学徒《=1944年3月、勤労学徒動員令が発令された》として働いていた時、昭和19年12月7日の東南海地震により、12人の学友と共に殉職《じゅんしょく=職務を果たそうとして命を失う》しました。 その時私の父は、俄《にわか》に漢詩を勉強して、自ら作詩し、且つ《かつ》兄の霊前にて吟じておりました。 僭越《せんえつ》ですが、その漢詩も紹介いたします。

下令赴生産陣営   下令赴く生産陣営
滅敵機増産路程   滅敵の機 増産の路程
忽殉職十三健児   忽ち殉職す十三の健児《元気な若者》
真是学徒無上栄   真(まさ)に是 学徒無上の栄《最上の光栄》                   
          
          落合勇男 作

注1 起承転結=漢詩の句の並べ方。起句でうたい起こし、承句でこれを承(う)け、転句で趣(おもむき)を転じ、結句で結ぶという形式。

注2 七言絶句=漢詩の近体詩の一種

注3 玉砕=大儀・名誉のため潔ぎよく死ぬこと

注4  楠氏(なんし)=南北朝時代の武将、忠臣といわれた楠木正成のこと       
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