動物とのふれあい 
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[No.36] わが最良の友 動物たち 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/05(Tue) 08:16
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遠藤周作:わが最良の友 動物たち
 
作家の遠藤周作は動物好き。

犬、猫、猿、九官鳥、家鴨まで飼ったようです。

遠藤文学の原点、動物を飼う意味を妻の口から語っているのが下記の文章です。

....
ことに犬に対しては特別の感情があったようです。
この本にも出てきますが、大連時代に飼っていたクロに対する贖罪の気持ちは、彼の小説の原点の一つになっていただけではなく、一生を通じて犬を飼うときの基本姿勢になっていたと思います。

両親の間にできた溝が修正不可能となった頃、二人の言い争いを聞くのが辛くて、小学生だった主人はクロを連れて夜の公園に避難したといいます。クロに話しかける幼い周作の辛い気持ちをクロは完全にわかっていたと主人は後になって書いています。

いよいよ両親は離婚と決まり、幼かった主人も辛い選択を迫られました。母や兄と内地へ帰るかクロと一緒にいたければ父と大連に残るか二つに一つです。
周作はクロを連れてゆきたいと泣いて頼んだそうですが、離婚して内地へ帰ってからの生活のめども立たない母にとってクロまで連れて帰る余裕はありません。クロと大連に残れば新しい女性を母と呼ぶことになります。

それは十歳の少年には耐えられぬことでしたでしょう。そのことを今日はクロに話そう、今日は告げようと思いながら言い出せないでいる内にとうとう別れの当日になりました。

後はこの本の中に出てくる主人の文章でお読み頂いたほうが主人の気持ちが読者の皆様にも通じると思いますが、そのとき馬車を追っかけるのを諦めて立ち止まり、どうしてそんなひどいことができるのだ? と悲しそうに自分を見つめていたクロの顔を忘れられないと、私が嫁にきてからすぐの頃、苦しげに話してくれたことがありました。

「自分の弱さと生活上の理由のために、俺のことを一番信頼してくれていたクロを裏切ってしまった」という悲しさは生涯主人につきまとっていたようです。

以来どんな犬を飼っても、どんな名前をつけても、それはクロにできなかったことを、代わりにその時飼っている犬にしてやって、せめてもの償いにしているといった雰囲気が濃厚でした。
.....


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