動物とのふれあい 
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[No.86] Re: 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/14(Thu) 06:57
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> > > > 「君がいてよかった(犬がくれた40の物語)」
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> > > > (財)日本動物愛護協会が
> > > > 「君がいてよかった」エッセイ大募集の応募作品の中辛
> > > > 40編を選出し、収録した本。
> > > >
> > > > 簡単に紹介します。

○エスの涙

幼稚園児の頃、新しく入ってきた子がいた。
その子は、乱暴者でもなく、いたずら者でもないのに、なぜかのけ者にされていた。

その子は家に近かったし、興味があったので、話しかけて親しくなっていった。
その子の家には、やさしそうな母親と片耳のちぎれた雑種の子犬がいた。
「この子は友達がいないからよかったわ、なかよくしてね」母親は嬉しそうに言った。

夏休みに、その子と子犬と、近所の空き地や草むらや川で遊び回った。

夏休みが終わり半月すぎると、別れが突然やってきた。
「引っ越すんだ。エスは連れていけないし、おれ...」
彼はあふれる涙を袖口でこすりながら泣いた。
「おれ、おまえのこと、一生忘れない、おれの友達はエスとおまえだけだったのに、両方ともいなくなるなんて。あーん」
彼が号泣しだすと、エスも悲しげに「くーん」と鳴いた。

彼の一家がいなくなって一週間がすぎた。
僕の家で飼われていたエスがふいにいなくなった。

二日間探してもいない。
もしやと思い、引っ越していった彼の家の場所に行ったら、犬小屋のあった場所にエスは、ひもじそうにうずくまっていた。
抱き上げると、「くーん」と鳴いて、僕を見上げた。

その年の夏は僕が生まれて初めて人の差別や動物の無垢の愛情を知った年になった。
エスは、その後の僕の人生を僕の少年時代といっしょに過ごしてくれた、かけがえのない存在になった。


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