若ものに読んでほしい「この一冊」
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[No.100] Re: 宮下健三訳メーリケ著「旅の日のモーツアルト」 投稿者:   投稿日:2010/05/10(Mon) 12:31
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(補足)

 どんなものを読んでもかならず、何かが残る。読書の功徳とでもいうか。読み飛ばしでは無理かもしれない。ある程度の『精読』は必要かも。

 と云ったからといって、そう乗り出されても困るが、「旅の日のモーツァルト」の中ほどに、「あの壮麗なパルテノーべの都の栄華も」という箇所がある。読み飛ばしてしまえばそれまでだが、注を見るとナポリの古称とある。レクラムを見ても、たしかに脚注があり、2行半ほどの説明があった。

 注には1799年ナポリ王国はこのパルテノーべ共和国となったとあるが、この表現を使ったモーツァルトが、旅をしていたのは1787年だからまだパルテノーべになっていないのでは?しかも音楽家自身が、父親とともにイタリアを訪れたのはさらに15年以上も前の話だ。(^_-)-☆まあ、重箱の隅を突っつくような行為はあまり感心したものではないが。(-_-;)

 しかしメーリケがマエストロの生きた姿を読者に伝えたいという姿勢は随所に見られて、ほほえましい。たとえば、伯爵家では娘がモザの話にまるで、『フィガロの結婚』の優雅さそのもののようじゃないですこと、などと言わせてみたり、マエストロにも、東屋でオレンジの実に対面したとき、それが少年時代の想い出につながり、さらにマゼットやツェルリーニのアリアを思い出させたり。いや、思い出すだけではなく、さらにエスカレートして、伯爵の家族の前で、「ドン・ジョヴァンニ」第1幕第7場のツェルリーナのアリア、「若い娘さんたち」を口ずさんで見せたりするのだ。

 音楽家はいわばサービス精神の塊のような人だったので、その人物像を浮き上がらせようと、著者もまけずに頑張ったのではないであろうか。(^_-)-☆


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