若ものに読んでほしい「この一冊」
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[No.108] Re: 宮下健三訳メーリケ著「旅の日のモーツアルト」 投稿者:   投稿日:2010/05/16(Sun) 14:10
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 モーツアルト家はよく馬車で旅行した。かれの生まれたオーストリアの、首都ウィーンは、長い歴史をもつカフェハウスで有名だ。あっしも行ったがウィーンのカフェハウスは天井が非常に高く、広々してじつに心地よい。

 そこで出されるコーヒーは数十種あるといわれているが、その中には馬車の名のついたが二つある。ひとつはアインシュペーナーで、これは一頭立て馬車、もうひとつはフィアカー、これは観光用の二頭立て馬車のことだそうな。

 この一事で、当時コーヒーが馬車の御者や、旅行者や市民にいかに親しまれていたかがわかる。

 ただ乗り心地はあまり良くなかったらしく、マエストロの父、レーオポルトは大変気を遣ったらしいことが、鹿島茂の「パリ時間旅行」にでている。

 ベートーベンの場合は楽譜の印税で食っていかれたのであまり馬車で遠出する必要もなかったらしいが、むかしは道路も悪ければ、馬車のスプリングも幼稚なものだったので、乗っている子どもなどは特にたいへんだったようだ。鹿島茂もまだいたいけない子どもだったモーツァルトが、よく強行軍に耐えたものだと、おおいに気の毒がっている。イタリア旅行のときなど、馬があばれて、父親が右足に裂傷を負うようなことさえあった。こうした事故のほか、天災や強盗事件も多く、旅は危険の代名詞のような状態だったらしい。モーツアルト親子が、外国で厚遇されたのも、頑是無い天才音楽家がとおい外国から数多くの危険を冒して、わざわざやって来てくれたことにも、大いに関係があったものと思われる。


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