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[No.615] 「ピノッキオ」は児童書ではない! 投稿者:   投稿日:2011/12/17(Sat) 09:50
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そういう視点で翻訳された大岡玲の「ピノッキオの冒険」を読んだ。

初めにマンガありき、の時代に云ってもしょうがないが、わかものは先にディズニーを観るから、かえって原作が間違っていると思うかもしれない。

 だいたい、ひとが大きな魚*に飲まれる話は原作ではサメpesce-caneになっているのに、ディズニーではクジラbalenaだ。

 それはこの話の出どころが旧約のヨナ記だという意味では正しい。しかし、コッローディの書いたのは「新ヨナ記」なぞのなぞりではなく、かれ自身の「ピノッキオの冒険」である。なにもマッタク同じである必要はない。

 他にも多くの相違点がある。それが興行収入に貢献しているのであればそれはそれなりに、ますます正しいのであろう。(*^_^*)

ところで、あっしはこの作品がイタリアの独立(イタリアはまだ多くの小国に分かれたままだった)機運高まる激動期に生きる大人の読者をも念頭において書かれたという大岡玲の見解に全面的に賛成だ。

訳者もいうように、これが当時の大人たちにおおきな共感を呼んだことは間違いないであろう。

 主人公の表記もあっしのこどもの頃は『ぴのちお』、あるいは『ピノチオ』で、その後『ピノキオ』、『ピノッキオ』と進化した。

 ところで、この小説の出だしはユニークだ。

「むかしむかし、あるところに……
「王様だ!」ちいさい読者のみんなは、すぐに
そういうだろうね。
残念ながら、そうではないんだ。むかし、
あるところに一本の棒っつきれがあった。」
(大岡訳)


 映画のあとは、ぜひ原作を読まれたし。

* 旧約のその個所を見ると、ただ大きなさかなun grosso pesce (inghiottisse Giona.)となっているので、ほんとうはクジラでもサメでも何でもいいのかも知れない。


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