タイトル | : オバアチャン・バイバイ 2 |
投稿日 | : 2005/01/13(Thu) 18:25 |
投稿者 | : マーチャン |
死亡時刻が確定した時点で、オバアチャンは「患者様からご遺体へ」、ワタクシメは「ご家族からご遺族へ」と名称変更が行われます。
ベテランの婦長さんは、おたおたしている「ご遺族」を上手くリードします。
「ご遺体のお清めをさせていただきます。ご家族のお手が必要なときは、お声をおかけしますので、その間に、ご親族への電話連絡などなさっては如何でしょう。病院内では、ケータイが使えませんので、一階にありますNTTの電話をご利用ください。それから、葬儀屋さんはどうされますか。病院でも、いくつかの葬儀社の電話番号は控えております。では一番お近いところへなさっては如何でしょう。それから、会計窓口で死亡診断書をお受け取りになり、忘れずにお持ちください。すぐ必要になりますから」
「あのお会計はどうしましょう」「それは落ち着かれたころにご連絡しますから、そのときで結構です」などのやり取りもありました。
「ありがとうございます。まず、お水かお茶をいただけますでしょうか。のどがカラカラですので」といい、お茶をいただいて気を静めた後、兄2人に電話をしました。
長兄には連絡はついたのですが、オバアチャン大好き人間の紋次郎兄とコンタクトがとれないのです。その日に限って朝早くからでかけているよし。東京ドームのイタリアン・フェスティバルへ行っているらしいとのこと。紋次郎夫人も心配して連絡をとってくれたのですが、場所が場所だけに捕まえるのは無理です。
オバアチャンの部屋へ戻ってみますと、カーテンのなかから若い看護助手さんが出てきて婦長さんを探していました。しばらくすると婦長さんが「そうそう、こちら側を内側にするのよ」と教えているのが聞こえました。浴衣の着せ方が分からなかったのでしょう。
オバアチャンは、病院備え付けの新しい浴衣に着替えさせてもらって、薄化粧もしてもらい、本当に「いいお顔」をしていました。