@





       
ENGLISH
In preparation
運営団体
メロウ伝承館プロジェクトとは?
記録のメニュー
検索
その他のメニュー
ログイン

ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失

Re: 成瀬孫仁日記(七)昭和十七年九月~昭和十七年十二月

投稿ツリー


このトピックの投稿一覧へ

あんみつ姫

通常 Re: 成瀬孫仁日記(七)昭和十七年九月~昭和十七年十二月

msg#
depth:
2
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2009/3/21 15:29
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
昭和十七(康徳九)年十月

六日(火)
 昨日の査閲の予行が雨天のため取止めになり、代りに快晴の今日行われる。起床六時、正に絶好の日和なれども稍寒し。
 射撃場の準備を命ぜらる。査閲何も受くる事を得ず。大いに不満なり。然れども又縁の下の力持の仕事も又良からずや。但し吾々を捨て置いて帰れる廣渡先生の態度は全く怒り心頭に発する。
 北寮は良いとの三年生の羨望の声を聞く。全く彼等にして見れば勝手放題の事をして、後の此の態度。些か満足の感あるも、そのうつり気、利己的な心に軽蔑の感あり。
 全く解し難きは人の心である。今日の此の日は誰か知る。全く苦しみ抜いた此の二年間、寮に愛着と義理の深きを今更にして知る。如何にせん我が身!!

十五日(木)晴 暖
 晩、室長会議あり
 寮委員の三年生、三名は攻撃の矢面に立つ。寮の委員辞職の説、旺んなり。室長二十名の内、反対者、有馬一名、棄権者二名(川口、繁田)他は皆辞職賛成者なり。如何にせん誠に困りたる事態に立至れり。
 九時前より二時頃まで会議続行す。川村先生一言も発せず。黙念たり。

室長会議メモ(康徳九年十月十五日)
 北寮室長会議 於十六号室
一、既成規則に対する意見。
1、土曜日門限十一時とし夜点呼止め、室長の報告のみ。日曜日点呼なし。
 2、(字が読めず)保留。
 3、夕食五時、食事当番の徹底、炊事当番の掲示。
 4、点呼は厳格に。室長の責任。
 5、各部単位にする。初学年と高学年との相違。
 6、入浴時間 五時半から八時半まで。
 7、週番の徹底。
 8、室内整頓の責任。
 9、自習室で禁煙の施行及び静粛化(歩く足音にも注意のこと)
二、寮委員に対する希望。
 1、寮生の人格を無視するな。
 2、無能寮委員の退寮。室長、副寮長の選挙制、熱と意気を希望し投票によって決める。
 3、現委員に対してはどうか。
 更迭するか、全学年の意向により慎重に対処するが、その意見は
 変る=山本、黒瀬、原田、森分、その他。
 変わらない=有馬。
 棄権=繁田、川口。
三、寮施設に対する意見
 1、売店、係にまかす。
 2、電球、現状維持。十三号室、十四号室。
 3、ラジオ、蓄音機、十号室。
  日本音楽と共にロシア音楽も整備する。
 4、音楽室、十六号室。
 5、図書設備の完備、各人の寄附二冊 月刊雑誌、新聞の整備。文化係を置く。
 6、娯楽室、ニケ
 7、食器棚。
 8、植木鉢、各室に備う。
 9、寮内の美化、食堂。
 10、スケート場借用のため白梅小学校と交渉。
 11、花、籠球、排球。
12、休養室の改革、治療室にすべきだとの意見もあり。
 13、洗濯物乾場、洗面所の棚。
 14、下駄箱、七、十、十一、十二の四室。
 15、ピンポン台、脱衣場、ボールの配給。
 16、投書箱(新聞箱を利用する)
 17、浴場の小桶
 18、各室に薬缶。(寮費で)。
 19、薬品類の常置。
四、体育方面
 1、ハリバ肝油。
 2、嗽薬の常置。
 3、朝の体操。(この時東方遥拝)。
 4、乾布摩擦の指導
五、学校並びに寮当局に対する意見。
六、徳育方面。
 1、礼儀正しく。
 2、食事の改善、夕食の汁
 3、点呼後の廊下を厳粛に(標語の募集)。
 4、廊下での挨拶の交換(オース)。
 5、ストームの事。
七、学術的方面。
 1、北寮の機関誌紙文化部。
 2、対ソ研究会、対北方研究会(先輩との交換機関の設備)。
 3、同好会、各種研究会。
八、精神的方面。
 1、寮歌
 2、親睦、和合、団結。
 3、討論会(テーマを定めてやる)後まわし
 4、モットーの掲示(名句の出た場合)。
 5、各室で室長中心の検討、練磨の会。
 6、集会(座談会)。
 7、コンパ、ストーム (主として戸外で、そして時々)。
 8、責任感の減少が見られる。
 9、北寮、南寮の統一、融合。
 10、前以て許可を条件に南北寮相互に宿泊出来るように極力努力すること。

特別議題
1、萬事につき積極的に指導頼む。
2、三年生の入寮を希望する。
3、上級生の独断排除。
4、寮委員の親心。
5、寮委員の忠告。
6、本日の寮委員の問題は保留にすること。
7、売店のことは売店係に一任。

この他にもう一枚「メモ」がある。

康徳九年十月一日
一、文化部(レコード、蓄音機、新聞、本)
二、カボチャ、薪代
三、米、味噌、醤油
四、売店の監督下にやる。
五、音楽室の飾付(油繪)
六、硝子の破損(査閲)。
七、防衛部(査閲)。
八、自習室の静粛。
九、点呼の時間、朝七時、夜十時(外出日は十一時)。
十、消燈、電燈一つ - 消燈紐、百ワット。
十一、点呼後の集合を早くすること。
十二、室長会議の形式。
十三、二年生と一年生との隔差。
十四、学校の本質的な考えを根本として種々施設をすること。
十五、学校の理想なり、寮の目的なりをはっきりと寮長会議の席で意見として述べるべきである。
十六、寮の一元的な理想的指導法。
十七、二年生は一年生に対して指導的な立場に生きよ。

十六日(金)晴 暖
 靖国神社臨時大祭の日なり。講堂において遥拝式あり。争初の論功行賞あり。支那事変としては最後なり。軍神、加藤建夫少将功二級を賜る。又ハワイ空襲部隊及び特別攻撃隊等も嘉賞せらる。之、金鵄勲章叙賜令中特旨受賞の最初の適用とあり。

--
あんみつ姫

  条件検索へ