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広島の被爆者の声(2) (2枚目のCD の11から20まで)

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kousei

通常 広島の被爆者の声(2) (2枚目のCD の11から20まで)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2006/7/14 0:06
kousei  管理人   投稿数: 4
 
その11 音声を聞く

 裸同様な人がどんどんどんどんと行列を作って、もう本当にもう顔を見ると幽霊のようですね。もう目のふちから唇がもう大きく膨れ上がって 肩から両手へやけどを負ってですね、もう目は見えなくなった人の手を引っ張ったり押したり。

 ちょうど私のところへ、表通りですから、突然女の人が飛び込んできて、まあその顔をみると本当に「お岩」のような顔でした。もう髪は焼けて、それから真っ裸ですから、ああ陰部も押さえて「あー、済みませんがモンペか着物を貸してください」まあそういうような若い奥さんのその姿みてもどうすることもできず、まあ、私もこういう状態だから、向こうもそれを察して、すごすごとまあ出て行きましたが。

 それから間なしに、若い奥さんがですね、何か胸に肉の塊のようなものを持ってこちらへ歩いてくる。おかしい、なんだろうかと思ってよく見ると、それはもう生まれて間もない赤ちゃんじゃないでしょうか。

 まあ、無残といっていいか、なんですね。残酷といっていいか、何と表現してよいか分からんですね。まあ、私もそういうその姿見て本当にもう、今こうして語っておっても、その当時のことを思うて。本当に地獄ですか。ほんとに地獄絵図といっても、それ以上のねーーー。


その12 音声を聞く

 その時はね、その恐ろしいとかなんとかいうものはないですよ。全部がそうでした。だから、あの色々なものを見ましたが、頭がね、半分に割れて開いてる。それでまだ生きているんですね。3センチぐらいの直径の竹がね、まあこの30センチぐらいですか、長さ、それが頭にボンと刺さっている。それでもまだ生きているわけですね。

 まあ、あの兵隊さんなんかねぇ、全部、服を焼かれて、まあ、あの短剣ですか、あれは下げているわけです。バンドもやって。それから長靴ですか、あれは履いている、帽子被っている。(裸ですか?) 裸で。ただ、そのときは変だとか何とか言う感じはないですよね。全部がそうでしょう。


 
その13 音声を聞く

 若い、17-8の娘さんがね、真っ裸でね。目に持っていってその1尺くらいの棒切れがね、目へスポッと刺さったままで、そして、どんどんどんどん歩いて行ったのを覚えていますよ。

 あれを見てね、平権五郎景政がね、自分の目に矢が立ったままでね、それで相手を切り伏せたとか何とかいうような軍記物語がありますわ、これは随分ホラだなとこう読んだ時は思いますよね、思っとる、ところが気が立っとる時は、あの娘さんがあの長い棒切れを目に付き刺さったままでね、どんどんどんどん歩いていっとる姿みてね、はぁやっぱり、あの平権五郎景政の話っていうのは、事実だなとーーー。


その14 音声を聞く

 とにかく、あのずる剥けになって、ここの皮がね、こういう風にぶらさがっとるんですね、立ってね、両方の皮が。て、顔はもう真っ黒けにもってってから、剥けて、目玉は飛び出てね、唇はね黒んぼの唇を見たようなんです。それがね、もう丸裸が、まぁ、どんどんどんどん血もぐれとそれとが、まぁ、見渡す限り逃げてくるんですもの。まぁ、それを私ら、逃げてくるところにおったでしょう。まあ、何いうても、まぁ、この世でね、まぁ、こんな様なことがあるんかしらん思いましたね、つくづく。


その15 音声を聞く

 何千人いうのが、皆こんなになりましてね。手をこんようにして、そして、あのみんな丸裸です。それが身に一糸として身についているものがおらんのですもの。それであの、女はね、まあおかしな話するようなのですけど、おかしゅうないですね、男の人、おちんちんがみんなこんなになっとるんです。

 そして顔はこうなっておりますしね。そして手、こうボロがさがっとるんじゃろうか思や、皮がさがっとるんです。で、みな手をこんようにして、手をこんようにして、裸足で、皆ああ空襲が、ああ解除になったいうんでみな裸になったんですね。それが暑い日でした。あの8月、あの6日の暑さいうたら、その後ないでしょう。あんな暑かった日は。


その16 音声を聞く

 またその連れて行く道にまあ、どーっと倒れてね、で、その倒れとる人がね「水ちょうだーい」「水ちょうだーい」「水ちょうだーい」いうて、みな死に物狂いであんたおらび(叫び)よってんですよ。

 それで、それでまた出て行ったらね、またそこがまあ、焼け爛れた人ばっかり。まあ、私は気分が悪うなってね。それで、あの私が行きましたらな、やっぱりこうぶら下がってね、目が飛び出てね、目ぇ見えんのです。それでも私がね、こう来た気配は分かるらしいね。私にね「あの おばさん、はよう医者んところへつれて行ってくださいや」っていうんですよ。

 ま、連れて行ってくださいいうても、握るところもありゃしませんのよ。私ゃ、まぁ、はぁ、あの恐ろしゅうて、恐ろしゅうてね、ほで連れて行ってあげたいうても、あれは赤チン塗ったぐらいのことでしたよ。何ーにもありゃせんのですけん。


その17 音声を聞く

 そして、その収容所へ一歩入って もう私はもう地獄っていったらね、私はね、ここのことじゃないかと思ったんですよ。

 裸の人もいるし、「空襲だ」「空襲だ」「空襲だ」「空襲だ」、あれは頭にくるんでしょうかね。立ち上がっては「バターン」と倒れる、それが1人2人じゃないんです。あっちからもこっちからも「空襲だ」「空襲だ」「空襲だ」って言う人もおれば「おかあさーん」「おかあさん」言うて泣く。

 そんな人がいっぱいいるなかで「はあ、地獄だ、地獄だ」と私 思いましたよ。その時にね。弟が、こん中に入れられるんかと思ったけれど、でもここへ来たら診てくれるんだと思いましたんでね。「お兄ちゃん、どうにかしてちょうだいよ。ね、お兄ちゃん、どうにかしてちょうだいね」っていうんでしょう。「いいよ、いいよ」って言いながらその一隅へ寝かされました。

 そうするとね。あっちでもこっちでも、みんなご承知だと思いますけど、「水ちょうだい」「水ちょうだい」みな叫んでるでしょう。兵隊さんが水をやるだけが看護なんです、薬を塗ったり、手当てしてくれるんじゃありません。あの収容所ってのは、水をやるだけが看病だったんです。あの日は。


その18 音声を聞く

 そうして見てびっくりしました。みんな頭がちりちりちりちり、焼けてね。あとね着物はみんなぼろぼろなんですよね。

 そして私はねぇ、瞬間に思ったのは、これは気違い病院がやられて、そして気違いの人達がこうやって乗せてこられたんだな、とそのとき思ったわけなんです。

 それでね、話すことでもなんでも、こう頭おかしくなった気違いと同じことをしゃべってるんですね。そしてね、後いろいろなものが刺さってるんですね。大きな木みたいなものがダーっと顔に刺さったり、身体にそのままつけてくるわけなんです。まあ、本当にあれ見たら生き地獄ですね。

 
その19 音声を聞く

 トットコ、トットコ、こっち方面のやつは駆け込みますからねぇ、それが、足の折れた奴が駆け込むんですよ、えぇ。肩へ骨折や手に、これ折れてるんです。それが気が立ってると駆けりますねぇ、あぁ。だから、あそこ入って、これは骨折だ言うたら、それっきり動けなくなったです、ねぇ。えぇ、そんなんがおるし。

 それから、このぅ、目ん玉へもってって、あの、障子の桟ですねぇ、どっからか飛んで来て、ぱっと突き立ったんです。障子の桟が突き出たままでも駆けって来るんですねぇ。それを途中で引き抜くちゅう考えも出てこない。えぇ、そんなん、ひどい、可哀想なのもおりましたねぇ。

 手当てをしてると、もう、こっち、先生来てくれ言い、いっぱい溜まっとりますから~と、溜りへ行ったんですよ。わし先に診てくれ、わしが酷いんぞ、わし診てくれちゅう言うんで、ことにならんです。これいちいち整理して順番付けなきゃ言うて


その20 音声を聞く

 一人を治療して、次待って立っておるのが、目の前、あら?今 おったのに、と思うのに、もうパタッと倒れてる。はぁ、脈見りゃ無い、はぁ、死んでしまっとる。それだからもう目の前でパタパタ死んでゆきよる、ほんと、この世の地獄だぁね、えー。

 それから、その患者たるや、もう、ここをこう顔をこれだけぐらい、ぶわーっと剥がれるように怪我したのがおるし、それから一つは、可哀想にねぇ、まーだ若い娘さんが、まっ二つにこれを、鼻を、二つに割ってる。ま、そりゃええ塩梅に、こぅ、縫ってやってね、大抵あれでまぁ治ったろうと思うけどね。

 それから今度、夏のことやからシャツ一枚でしょう。そいから男は裸の人もおるし、よくその魚の湯引きいうのがあるでしょ、魚に熱湯かけてね。熱湯かけられたようになって、この皮が、つるーんと、一皮こぉ、むげてね、おるのがあるし。そりゃあもう

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