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広島の被爆者の声(2) (2枚目のCD の31から36まで)

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kousei

通常 広島の被爆者の声(2) (2枚目のCD の31から36まで)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2006/7/14 0:11
kousei  管理人   投稿数: 4
 
その31 音声を聞く

 全身火傷の人もいますでしょ。そうすっとね、学徒動員で行った中学生なんかがたくさんいるんです。「あんた、どこの誰?」って聞くんです私。「どこ?何中学の何年の何?」って言うと「何年の何だ」って言うんですよ。

 最後にはね、「勝利の日まで」を歌うんです。みんな「勝利の日まで」を歌ってね。最後に「お母さーん」って言うんですよ。そしてもう息が絶えたと思った時には「天皇陛下万歳」でね。まだ12、3からそこらの人たちがみーんなそうでした。

 そいでね「明日になったらお母さんかお父さんかみえるから頑張んなさいよ」って私はもうずーっとその間をよく歩きながらね。そのうちに、その晩はずいぶん死にました、その人たちがね。


その32 音声を聞く

 ただまぁ水が飲みたいんですよね。のどが渇いてもう死にそうなんですよねぇ。で、私ははぁ、もうその頃には顔は、目はつぶれてから、腫れてからつぶれて、誰が誰やら全然分からんし、声だけで、誰だ、いうんが分かるんだけ、のような状態だったです。ただもう「水を飲ませい」、こう言うんは、まあ、私らがまあ「死んでもいいけん飲ましてくれ」言うぐらいまで苦しかった、その水の欲しかったいうことがね。

 ほで、先生は飲ましたら死ぬるけえ飲ましたらいけん言われるんじゃ。それで「誰々」言うて、下級生の名前言うてですね、「死んでもいいけえ飲ましてくれ言うんじゃけぇ、の、汲んで来てくれってことよ」「お前汲んで来てくれんのなら、恨んで出るぞ。死んだら恨んで出るぞぅ」って言うてま言うたわけですよね。

 汲んで来てくれたんが、ビールの瓶へ井戸水を汲んで来てくれたわけですよ。ほいで「さげられんけん、これ飲ましてくれ」言うて、その、水を飲んだ時の、そのまぁ、美味しかったよ。その冷やい水が咽をカラカラになった所を通る旨さに、未だにまぁ…


 
その33 音声を聞く

 「潮が満ちて来るとそこに座ってたらね、溺れてしまうから、上まで上がんなさい」言われたって、どうにも足が一歩も立てないんです。それから、わふ、こんなことしてたら潮が満ちて来たらいかんと思いましたから、ようやく這って上へ行きましてね。石垣があるんですよ。その石垣へこうやって寄っかかったきり、もう何が何やら分からなくなってしまいました。

 それで、一晩そこで野宿ですわねぇ。その間にどれだけの人が亡くなりましたか、周りで。日が暮れて、もう火事で全部焼けましたから真っ暗でしょ。ここら、私のこう寄っかかってる傍にこう可哀相な女の子がいらして。この方も明け方に息引き取ったらしくて。「寒いよー、寒いよー」言ってね。あー、一人でそこまで逃げてきていらしたんでしょうか。そいから何人か川へドボンドボンと落っこちて亡くなられた。


その34 音声を聞く

 ただその時は自分の娘も今どっかでこいうような目にあってるんじゃないかしらんという気持ちがある以上はその人たちを見過ごすことができないわけなんです。なんとかしてこの人たちも。

 ほいで、「おばちゃん、水ちょうだい、水ちょうだい。私の兄さんはどこそこのね警防団にいるんじゃから連絡取ってくれ」、「なんね、今そうじゃない。おばちゃんの娘もも、今こうこうで、今あんたたちらと同様にどっかでこのてんように泣いて(《こんな風に泣いて》、あんた達のように叫んでいるじゃろう思うから。まぁとにかく水を飲んだらあんた達は死ぬるんじゃから、いや、もう飲んだらいかん、もう飲んだらいかん。あんた達は命が大事なんじゃから。もう明日夜が明けたらねぇ何とかなるから、夜の明けるまではここで辛抱してくれ」言うたんですがね。

 みーんな死んだんですよ、はい。もうね、みーんな死にましてね。もう私もう本当にともに泣きましてね。その人たちが死んだのが、その人じゃない、私の娘がこの通り死んどるんじゃろう思いましてね、泣きましてね。


その35 音声を聞く

 防空壕の狭い所へね、押し合いへしあい、皆入ってるんですから。その中には火傷した人はおるしねぇ、怪我した人はおるしね。とにかくぎっしりいっぱいですからね。足の踏み場も無い。それにもってきて真っ暗でしょ。そでまあ、中にローソク持ってた人が一つポーンと点けてくれとってんですから、もう暗いんですよ、何しろ。

 その時にその子はね戸口の所におったですがね。「痛いよー、痛いよー、お兄ちゃん、痛いよ、痛いよー」って言うんですよね。「お兄ちゃんここにおるからね。静かにしなさいよ。僕だけじゃないんじゃから」言うて。そのお兄ちゃんいうのがようできた子でね。一生懸命言いよったですがね。そうするとね「いやーおしっこ行くよ。うんち行くよー」言うんですよ。痛いもんじゃけ、やるせがないもんですから、そう言うて兄ちゃんをねぇ、何とか自分の所へこう引きつけとこう思うて言うらしいんです。私はずーっと寝とって聞いとりましたけどね。

 で、始めのうちはお兄ちゃんもね「よっしゃ、よっしゃ」言うてからね、抱こや思い、痛ってててぇって大騒動するんですよね。だけどうんちやおしっこじゃいうんじゃ《うんちやおしっこは》防空壕の中じゃできんでしょ。で、痛がるの抱いちゃ、外へ連れて出てね、また連れて入ったりしよったですがね。「お母ちゃーん、お父ちゃーん」言いよったですがね。

「お母ちゃんもお父ちゃんもすぐ来てくれてじゃけん、ええ子して寝てなさい。お兄ちゃん、もうそんなに悪い子する子じゃったら放っとくよ」って言いよりましたよ。

 そしたらね、何とかいう名前でしたね。「何とか、何とか!」っていうお兄ちゃんの声が、異様な声でね。はっと私らも目が覚めたんですよ。あらーって思うたらね、「何とか死んどる。お母ちゃーん、助けてぇー」言うてねぇ。その男の子が、中学3年ぐらいの男の子だったですがね。「どうしよう、死んどるー」言うてから、もうおらびだし《叫びだし》ましてね。「堪えてー、堪えてー。お兄ちゃんが悪かったー」言うてその子を抱きしめてね。「死ぬるんだったらお兄ちゃん怒るんじゃなかったのに、堪えてくれ、堪えてくれ」言うてね。みーんなもらい泣きしたですよ。


その36 音声を聞く

 集団疎開先でね、八月のね、六日の日だったんですよ。子供をね、夜どうしても起こさなくちゃ、夜尿症がおったわけで。12時に子どもを起こしてお便所に連れて行くんですよね、3~4人。もう起こす子供も決まってるんですよ。

 起こしに行ってね。私がね、便所へ子どもを連れて行って、私も行った時に、すーっと白い着物着た女の人がねぇ、立ってるんですよ、便所に。私はそれを見て、びっくりしてねぇ。「まぁちょっと来てや」言うて。子ども起こすわけにいかないけん、寮母さんに、起こして。怖ろしくて、恐くて。

 「白い着物を着た幽霊が便所のあの奥の方に入ってるのよ。ちょっと来て見てよ、子どもにあんまり大きな声して、びっくりしてね、夜便所行かんようになったら私困るから、ちょっと来て見てよ」言うて。私はそれを起こしたのを覚えてるの。

 結局は、私それね、人の魂が乗り移る、母の魂が私の方へ、私のところへ来たんじゃないかなぁと思う。それをみんなに言やね、「そんなことないよ」って言うんですけどね。それがちょうど 八月の六日の夜だったの。12時頃にね。だからね、原爆におうてね、ひどい火傷でものが言えんようになって。まぁ疎開先は一度は来とりますから。結局魂が私の方へ来たんじゃないかねぇ思う。



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