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Re: 大正人の責任。 不虻

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通常 Re: 大正人の責任。 不虻

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2011/6/21 8:04
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 変蝠林さん  御無沙汰しています。

引用:
此処で沈黙して居ては、却って無責任を免れ得ません。

 貴兄に次ぐような大正人でありながら、なかなか書き込みも出来ず、申し訳ありません。
 仰るとおり、終戦直後の東京の凄まじい生活など、もう今の若い人には想像もつかないでしょう。

 私は昭和20年9月20日に復員、暫く郷里で呆然と日を送っていましたが、12月に虎ノ門にある勤め先に復帰しました。目黒区月光町で焼け残った友人の家に泊めて貰い、そこから通いました。

 先ずは乗り物。窓硝子が割れてしまって寒風が容赦なく吹き込む省線(今のJAのこと)で目黒から新橋までぎゅうぎゅう詰めで。

 新橋駅周辺は食べ物屋の闇市。烏賊の丸煮などぷんぷん良い臭いをさせているが、一匹十円、またラッキーストライクやキャメルなどのアメリカ煙草が一個30円、しかし月給150円ではとても手が出ない。

 毎晩、勤めから戻ると、先ず虱取り。下着から4匹見つけ出してゾッとする。

 渋谷駅など、浮浪の戦災孤児が倒れている。物憂げに身体のどの部分も動かさず、ただ空虚な瞳がじっと地面を見つめている。

 電車、街、勤め先、凡てが阿鼻叫喚である。怒声、悲鳴、叫喚、耳に入って来るのは惟。倦怠、不潔、社会の不公平、雑踏、怒気、焦燥、卑屈不倫、怠惰…………目に入り、身に感ずるこれであった。

 そして遂に私は疥癬に罹り、空しく郷里へ帰りました。

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