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広島の被爆者の声(3) (3枚目のCD の11から20まで)

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kousei

通常 広島の被爆者の声(3) (3枚目のCD の11から20まで)

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2006/7/14 0:17
kousei  管理人   投稿数: 4
  
その11 音声を聞く

 うーん、徒歩行軍で行ったんですけども、うーん、広島市内はもう見渡す限り、よくもこれまで焼けたものだっていう風にですねぇ、本当の焼け野が原ですねぇ。ず~~っと死体がですねぇ、その死体がそのみーんなこの裸になってるわけねぇ。

 こう行軍していったらもうあの~、もう一番最初に目についたのがですねぇ、あのー、もうこう焼け太りになって女の人が、こう倒れてるでしょう、その子供がですねぇ、まだ歩けないんですよ、それが、こう這ってからですねぇ、その死体の間からこう這い出てきて、で、その自分の母親でしょうね、その乳房に口をつけてすすっている。それを見たらですね、もう軍歌がみな声にならないです。

 もうそれでやっと比治山に着いたら、松ノ木に人が成ってるわけですね、てのは、爆風で吹き上げられて、こうっやって逆さまにこうぶら下がって、枝に下がってる訳ですよ。そんでぇ

その12 音声を聞く

 そしたら、子供がその死んどる母親に、乳房へ一生懸命に、しゃぶりついとるんですよね。ほいで、まぁ可哀想なねぇ、どうしてあげることも出来んじゃが、お母ちゃんが死んどるのに知らずに赤ん坊は、お母ちゃんの乳房に触っとるが、いうようなのもありますしね。

 そうか思うと、気が変になってね。子供を抱いとったんじゃろう思うんですよね。あの巻き布団に包んで子供を抱いとったんでしょうが、その子はおらんのですよ。 それなのに巻き布団だけを抱いて「よしよしよしよし」いうてね、歩きよるんですよ。見ちゃぁおられません。

 そうか思うと、そこんとこに水がチョロチョロチョロチョロ出よります。そこへもう、みんな人が行っちゃぁね、その水を飲みぃ行くんです。水飲みぃ行っちゃぁパタんと倒れ、ほいでまた水飲みぃ行っちゃぁパタんと倒れ、その周り一杯倒れとるんですよ。

 そこの周りまるで あの、私がああいうんです《私に言わせれば》、まぁ魚が網ぃ掛った、(その)網ぃ寄せるみたいようなのお、そこへ皆、こうして倒れては、水一口飲んじゃぁ倒れて死に、死ぬ、一杯死んどりました。

 で、そういうようなのを、まあ、死んだのを端から兵隊さんが、薪をたくさん積んでね、まるで、まあ、ゴミを焼くようにねぇ・・


その13 音声を聞く

同じ7日午後、同盟通信長崎支局にて


その14 音声を聞く

 午後3時半にですね、ちょっと変わった発表があったと。ちょっと私読んでみます。えー、大本営発表、

「8月7日15時30分、一つ、昨6日広島市はB29少数機の攻撃により相当の被害を生じたり、 二つ、敵は右攻撃に新型爆弾を使用せるもののごときも詳細目下調査中なり」。

 まぁ、いとも簡単な発表ですが、当時大本営なり軍管区発表というものは、ものを隠してですね、えー、明らかにこの島は取られたんだということを、目下激戦中とか、あ~、無くなってしまって、転進というように、嘘の発表を、国民を欺瞞する発表をやっていた大本営がですね、広島の場合ではですね、「B29少数機、わずかな飛行機のB29の攻撃によって、相当の被害を生じたり」。これは大変なね、えー、発表だと。

 まぁ、それだけならいいんですけれども、「敵は右攻撃に新型爆弾を使用せるものの如し」という言葉に、新型爆弾ってこりゃなんだろうと。これはまぁ、我々の、僕らの常識では考えられないね、とんでもない兵器が広島で使われたに違いない。僅かな言葉だけど、相当な被害を生じたりというからにはね、殆どこれは、広島はもう全滅に近いものじゃぁなかろうかと。

 
その15 音声を聞く

8月8日から一週間の広島


その16 音声を聞く

 ええ、爆心地のとこに行ったんです。そのかわっぷち《川淵》にねぇ、あの、ちょうど私たちと同じくらいのあの、生徒、男の子の生徒が、建物のあの疎開にね、作業に出てたらしくて、そういう人たちが、いっぱいあの、固まって、死んでました。

 そういう、死んでる中をね、跨いで跨いでこう歩いてね、私達は来たんですけどもね。肉親らしい人がやっぱりこう探して歩いてましたけどね。トタンをこうめくってみたらね、やっぱり自分の子だったらしいんですよ。で、その死体にねぇ、「ここに居た居た」っていってねぇ、それね、抱きかかえて泣いてましたけどね。
 
 それでね、あの私の家の焼け跡へ着いた時にねぇ、私が弟をおんぶしてねぇ、レンガがこうあの転がってたんですよね。そこへ私が何の気なしひゅっと上がったんです。たらそのレンガがねぇ、ぺしゃんと崩れちゃったんですよね。「レンガが崩れるくらいだから酷い爆弾だね」って、母親が言いましたけどねぇ。


その17 音声を聞く

 先ず第一に驚いたことは、もうそのう、市内の悲惨なことですね。地獄の様相は全くこれだなぁ思いましたねぇ。

 赤く焼け爛れてそしてもうここらずーっとその真っ赤になっとるんですよ、出たところは、えぇ。顔といわず手といわず、足も、赤剥けになって血がにじんでおりましてねぇ。それがずーっともう、その動けない人たちを収容してですねぇ。それで、ずーっと並べておるんです。その下に倒れておる人がもう動かれず、そして血まみれになって、「水ぅくれぇ、水くれぇ」て言うて叫ぶんですね。

 それから、一つはこの広島市内へ一歩足を踏み入れたら、もうなんとも言えん異様な臭いですねぇ。 腐っていく臭さですかねぇ。毒ガスの中におるんと一緒です。そして、もう、至る所で死体を焼いておる。

 呉のあの大空襲の悲惨な状態を知っておりますが、広島のあれを見た時には、あぁ、呉は良かったなぁと思いました。原爆でのかって《なくて》良かった。えー、それほど悲惨な状態でした。これはもう筆にも口にも表せません。現地を見たもんでないと分からん。地獄の有様とはこのことだと。
                     

その18 音声を聞く

 中へ巡察で入っていきますとねぇ、「兵隊さ~ん、水をくださいよぅ、暑いですよぉ、水を下さいよぉ」って、一斉に言うんですよ。靴の音が聞こえるとねぇ、みんなもう苦しいもんだから、とにかく「水~、水~」ってことはねぇ、みんな叫ぶんですよ。
 
 で、ねぇ、水をやりたくても、もう、「水を、あの~、飲むとねぇ、もう死んじゃうんだからねぇ、水は絶対やらないよぅ」って言うんですよね。だけどもうその焼け爛れてる人たちやなんかは、もうたまらなく喉が渇いちゃうわけですよ。
 
 だからもう、「水をくれ~、水をくれ~」、ただ「水 水くれ、水くれ」だけでもう亡くなっていきましたね。今になって考えてみりゃぁ、あの時水をうんとたらふくね、思う存分にねぇ、汲んでいって飲ませてやれば良かったなぁっていうようなことをねぇ。
 
 
その19 音声を聞く

 えー、わけても女子学徒ですね。この貯水槽、大きなやつが町にこうありましたが、その中へ折り重なって、体がもうほんとに膨れ上がって、この、死んでおりましたですね。
 
 だから、水を求めて貯水槽に集まったもんでございましょうが、もう二重三重にその中に折り重なって死んでおると。で、あの、日赤とか県病院に、まだ、あぁ、生命のある命のまぁある、辛うじてある生徒を運んでやりましたが、このぅ、収容しきれないので、日赤辺りでもですね、門のところにずーっとこの置いてあるわけですね。

 そいで、この無欲顔貌と言いますか、これのそのぅ非常に程度の、極度ですね、ですから声を掛けても反応がない、まぁこの世の人とは思えないという。

 あくる日行ってみると何人かがその内死んで、場所を変えて脇へ移してあると。中に、元気な人は、自分はこうして建物疎開で動員をされて連れてこられた、そしてこういう事になったんだが、何処何処に自分の家族がおる筈だから伝えて欲しいと。

 はい承知しましたという風に返事する以外にしょうがないわけで、そこらあたりもう焼け野が原で、誰こそおりゃせんので《居ないんだから》、で、連絡のしようがないことは分かっておるんですけれども。


その20 音声を聞く

 これかのう思うて、こう、えぇ、死骸をいらう《いじる》とねぇ、ピシーッと飛ぶんですなぁ、あの、はぁ、暑いですけんねぇ、膨れて。もう形はハッキリ分からんようになっとるし、ほんとにまぁあの、海老を湯がいてね、バーっとこう移したようなんですわ、多いので死んどるのがねぇ。

 早う、1分でも早う、まぁ一目見てやろう思うのが一念ですが、もうはぁ、あの姿を親に見せんほうが親孝行じゃ思う気がしましたなぁ、えぇ。

 ありゃぁ、いよいよ確認できません、えぇ。見た人がおらんのじゃから。もう、二中の生徒は全滅ですけんねぇ、あそこへ行っとったものは、先生からはじめて、えぇ。あすこへ、朝出て行ったいうことは、まぁ分かっておるんですがね。   

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