広島の被爆者の声(3) (3枚目のCD の41から43まで)
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広島の被爆者の声(3) (3枚目のCD) (kousei, 2006/7/14 0:13)
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kousei
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その41 音声を聞く
原子爆弾症の第一期症状っちゅうのは、とにかく出血ですね。一番最初に出血するのが、あの、腸から出血した下血です。だから、その~、軍の方ではまず第一番に今までの医学の常識として赤痢を疑って、赤痢だから直ぐ江波分院へ送れ、江波は伝染病棟だから江波へ送れというて、江波へ送ってきました。
だけどねぇ、疑問に思ったのは、その~、そういう患者が来て、肝臓も腫れてますが脾臓(ひぞう)が腫れてきておりますね、みんな。そして黄疸を起こしてくるんです。今までの経過と違うわけで、赤痢の経過とは違うわけですね。 脾臓が腫れたり肝臓が腫れたり黄疸が出て、そしてバタバタ死んでいくでしょ。どんな処置をしても死んでいくわけ。
だから、これ疑問に思って白血球調べてみようっちゅうて、ま、調べたわけですよね。で、白血球調べたところが、その白血球が殆どゼロに近いんですね。
その時にたまたまその、京大の放射線科におった柳っちゅう軍医、軍医少尉がおりました。「ひょっとしたらなぁ。こりゃ放射能かも分からんよ。レントゲンのね、障害によって白血球が減るけれども」。そこで初めて、特殊爆弾、しかも放射能性の爆弾じゃぁないかということが、我々薄々感じました。
その42 音声を聞く
もうそれこそもう何千何百何万でしょぅ。もう見渡す限り死体の中をずーっと歩き回って、探し回る時になったら、あの、恐怖心なんて全然ないですね。死体を見て怖いとか思いませんよ。
探して回って、色々の、それこそもう無残な姿を見て回りましたけどねぇ。もう中には、その、明らかにこう母親がね、あの、赤ちゃんを腹の下に抱きかかえるような形、そのままの形で焼けてるんですよね。
その当時、あの、怖いとか恐ろしいとか、死体見たから夜寝られないとか、そんなあれはなくてねぇ。家の中に一人居って、こう夜になったらもう、市内がもう、毎晩こう赤々としてるんですよね。で、あれは、死体を焼く火の明かりだって。そんなの見とってもなんかぁ、良くまぁあたしだけ助かったもんだっていう、そういうこう、自分が生き残ったことに不思議を感じるって言うんですかねぇ。不思議さと何とも言えない物悲しさとかねぇ、人の命の儚い(はかない)とか、そういう感情がせきあげて、一人よく泣きましたねぇ。
その43 音声を聞く
まろべるは 屍ならずや 息ありて かそかに蠢く 命転がる
紫の 煙たなびき 畑隅に 夜も日もすがら 屍燃え継ぐ
焼け爛れ 赤ヨウチンの 効もなく 恨み狂いつつ 息を絶ちたり
まがうなき この石踏みて 思いなく 軍病酒保の ありし跡なり
永らえて 我がしみじみと 生きて踏む この石のみが 定め知るのみ
たむろする 浮浪児によりて 今宵寝む ねぐらを聞かば にやりと笑う