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長崎の被爆者の声(3) (6枚目のCDの1から10まで)

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kousei

通常 長崎の被爆者の声(3) (6枚目のCDの1から10まで)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2006/7/14 11:00
kousei  管理人   投稿数: 2
 
その1 音声を聞く

あけて8月10日未明 長崎


その2 音声を聞く

 しばらくいきますと、神学校がございまして、ペシャンとせんベいを叩き潰したように、もう大地にひらみついておりました。そして、その傍にはですね、8人もよらねば抱えられないような大木が倒れておりましたので、それをですね、越えるわけにもいかないで、こう透かしみますと、あぁ、人ひとり通れそうにも御座います。わたしは背中から子どもをおろして胸に抱きながら、そこの間を這って通りました。

 そしてなかばを通りかけたときに側の方から「みずぅ、みずぅ...」という声が聞こえるのです。わたしは、はっと思うてそっちを見ますと黒いものがうごめいております。また反対の方でも、「みず、みず、 助けて、 助けて」 それはもう無意識にいっているような声がきこえる。これはもうその大木に、たたき倒された人たちの悲鳴でございましたろうか。 

 私はどうすることもできないで胸の子どもをしっかり抱きながら、その間をにじり出まして、ほっとした時に「じぃー じぃーっ」と他に音も無いその夜のしじまを破って地虫が啼いていたこと、これはもうわたくしの忘れることのできない音でございました。


その3 音声を聞く

 夏のことですし、朝、夜が明けるかあけないか、ですから4時か5時には山をおりたんだろうと思います。
 で、めざす岡町のところまできたわけですが、ま、電車は吹きとばされているは、まあむごたらしい残骸をさらしておりました。それからやはりあのぅ、家の外に倒れている方が沢山おられたような気がします。 

 で、めざす私の家にやっとたどり着きました。と申しますのは目印が無いもんですから、と同時に道がないもんですから、うーん、ほんとに10数年間そこで生活して居ったんですけど、ちょっと戸惑うというか、家をさがすような格好だったんです。

 だぁれもいませんでした。えー、もちろん亡くなられた方がいっぱいそこに倒れているんですが、生きてる人がひとりもいないんです。

 そしてこの私のこの両手で、白骨になっておられる方々の頭蓋骨をですね、両手でもちあげましてね、おふくろが金歯がおおかったんですね、ですから金歯を目印でやったらいいんじゃないかと思いましてね (この両手を、まあ、今でも見つめるときがあるんですけどね) この両手で何十となくその遺骨というか頭蓋骨をですね、抱きあげるというか、そして歯をみる、そしてこれじゃないなあと思っては、また元へとそっと戻す。


その4 音声を聞く

 あのぅ、大学病院から、山里の丘へかかる途中ですが、最初は、立ち木が燃えてると思ったんです。そのそばを通っていて、そのとき人間だっ! と思ったんです。黒焦げの人が、立ったまま燃えているようです。おそらく首が先きに飛んだんだと思います。

 山里の一番高い丘にあがったときにはじめて、浦上天主堂とか我が家の方とか見おろすことができるんですが、まるっきり道がなくって、自分ん家(ち)のある場所を目でさがしたんですが、これがわかんないですよ。

 道もないし、勿論家なんかありゃしませんし。橋も埋まってしまっているし、目印になるようなもんはなんもないんですよ。で、おもいつきまして天主堂へ上ったんです。そこからまっすぐ丘の方向をみまして、自分ん家(ち)の焼け跡の見当をつけたんです。
 もうねぇ、ほんとうにあれは、この・・・砂漠ですね・・・。


その5 音声を聞く

 学校の壕に残りました先生がどうしているだろうか、ほとんど亡くなっていられるんじゃないかと思いながら、私は、あの、学校にでかけていきました。そうしましたところ 何人かの先生はもう亡くなっていましたけれども、10人ちかくの先生は虫の息ながらも、生きながらえていまして、私が行きましたところ、「林先生、林先生」と、いってもうあっちからもこっちからも非常によろこんでくれました。

 そこで、この先生たちが昨日からなにも食べていないので、あの、ひもじかろうと思いまして、その日すぐに大橋付近に炊き出しの握りご飯を配っていましたので、そこにもらいにいきまして、まあ、そのままでは食べきらないだろうと思いまして、いっちょこれは、おかゆにしてたべさせなければいけないと思いまして、まあ、近くに鍋を拾いに行きました。
 そこでまぁ軟らかく炊きまして、そしてやったのですけれど、まあ、ほとんど食べる元気もなかったようです。

 運動場の周りには、たくさん壕を掘っていましたので、近くの人で助かった人はみんな壕のほうに避難してまいりましたので、壕はいっぱいでしたが、その人たちも、もうだれも薬を持っている人もいませんし、ただもう壕にいただけのものでした。


その6 音声を聞く

 いきましたらその5人の看護婦が、ほんとに芋ずるを手にしたような格好で、ほとんど離れ離れでしたけれども即死しているわけですね。もう見るからに様子が変わってしまっているわけです。
 爆風で飛ばされてもう裸にしてしまわれてですね。それと膨張してしまって、身体が。見分けがさっぱりつかないんです。
 で、やっと、あの、その当時もんぺを着ていましたから、そのもんぺの柄が足首とか襟くびにすこぅし残っているんですね。で、その柄で大体見分けがついた訳です。

 そこで爆風で飛んでおります木切れをその遺体の一人ひとりの上につみかさねましてね、皆で。それであくまで、べつ別にして焼かなければ遺骨の取り扱いでまずくなるとゆうことでございます。
 さあ、火をつけましょうとゆうことになったんですけれど、とても私にはそんなこと出来ませんから「先生お願いします」と言ったわけなんですけれど「君が責任者だから君がしなければだれがするかと」と。
 もう、本当に私、そのことを今思いますともう、なんていっていいか分かりません。もう本当につらいんです。

 ですけど、まあ、やらなきゃあいけないんだとマツチを擦って拝むようにしてそれぞれ御体に火をつけました。
 ぼんぼんぼんぼん燃えていくんですね、ほんとにあの時のこと思いますと、もう、胸がいっぱいになってしまって。


その7 音声を聞く

 ちょうど防空壕の前に水溜りがあった訳ですよ。濁った水がある訳。それにわれ先にと、しがみついてその小さい穴にですね、たくさんの死骸がやまみたいに。

 その水を飲むと、みな死ぬわけですよね、だからみんな「水を飲んだらいかんぞぉっ、いかんぞー」ってその人たちが言うんですけど、きかないわけですよ。その水を飲んじゃぁ亡くなり、今度はまたその死体をかき分けてまた自分も飲む、そうゆうふうに。で、もう死体の山なんですょ。そんな死体をのけちゃ飲み、のけちゃ飲み。

 そんなするかと思えば、今度は、鉤みたいな、魚を首の所突っ込む鉤みたいなので、死んだ人をひょっと引っ掛けちゃぁ、表をひっくり返して。「ああ、これ自分の子じゃあない」言ったりするしですね。物凄かったですねぇ。親は子を捜し子は親を求めて、もう右往左往するわけですよね。


その8 音声を聞く

 いってあそこからここから「水をください 水をください」って、もう、とにかく言われるんですね。それで気の毒に後ろを見、左を見して、また空襲がきます。かごみざきが《座る場所が》、とにかくないんです。死ぬ覚悟だったんですね。もう下っていくちゅうのは。

 もう「行ってはできん、行ってはできん」と、おっしゃいましたけど、ただお父さんとお舅さんに会うだけのみ、けっしてこの子どもたちを会わせてやらんといけない、という一念から下っていったんですね。 

 もうその人様がもうみんな仰なき(仰向け)になって亡くなっておられましたね。みんな鼻をたれておられたんです。小指くらいの鼻がべったりと出ていらっしゃいましたですよ。その人間のたれていらっしゃる鼻がみんなそれぞれに色がちがうんです。黄ばな、赤ばな、青洟ですね。

 いちばん可哀想だったと思いましたのは、ちょうど中学生くらいの坊ちゃんが、鉄筋にちゃーっと背中をつきぬかれていたんです。ちょうど蛙が両手を挙げて後ろ足を上げてその背中に棒をつっこまれていたような格好で亡くなっておられました。
 それでずぅっと一年半の子をかろって四つの子を、手をひいて・・・。


その9 音声を聞く

 寝ているんですね、その「やけど」された方が。それでもう本当に黒人といっしょで、もうまっ黒なんですよ、それでもう髪がちりぢりになっているしですね。 
 「それじゃぁ、お母さん足を抱えてください、それで娘さんにはおなかのところ抱えてください、私は頭を抱えますから」といって頭をもったとたんに皮がつるんと剥けるんですね。

 またもう学校まで行く道には、もうとにかく地獄のなかってゆうですか、あれだけの人が道にずっと倒れているというのは。
 通るともう「みず みず」という、ただその言葉だけで足を捕まえて離なさないのですょ。「みずをくれ」。 

 ちょうどあすこの川を渡るときは川のうえにはもう人間が重なり、もう上に重なりで、結局もう動物も人間も死ぬ場所が一緒なんですよね、結局、人間の上に豚が押しかかってみたり、牛・馬が押しかかってみたりです。その上にまた人間がおしかかってみたりですね。***ってゆうような状態でもう一緒なんですょ。 

 私がいっちばんおそろしくもあったり、不思議に思ったのはですね、立って死んでおられた方がおったんですよ。あれだけ爆風があってなぜ立って死んでいたかと。立って死んでいた方が、立ったまま、結局、舌が膨脹して、ちょうどあのガムの風船をふくらましたような格好になっているんですね、口が。目はもう潰れたみたいになってふさがれているんですけどね。

 橋が半分に折れてその欄干の上に人間がよつばいになって、そのまま死んでいるし。
 もう、ちょっと絵で書いてくれとか、当時の状況をそのまま話してくれといわれましても、なかなか口にだして話すということは難しいですょ。


その10 音声を聞く

 浦上駅前まで来たときにですね。合同馬車、日通の馬車ですけどね、合同馬車ってゆうのはね。馬車を引いたまま馬が倒れてですね、で、馬車が上になって馬が下になっておった訳ですけど、ぞうわた《内臓のこと》がはみ出しておって3間ほど臓腸がとんでるんですね。それを焼け爛れた猫がぺろぺろねぶっていたのをみて反吐を吐いたのを憶えているんですよ。

 そこで足がみずぶくれしとったんですねえ。それがパンクしたんですね、空気にふれてもう痛くってですね、このままでは足そのまま歩けないっとですね。

 大橋に電車が2、3台おったのはおぼえています。そのなかに黒焦げになった死体が立ったまま黒焦げになっちょったのを憶えているんですょ。 

 それから大橋の鉄橋渡るときに下をみたところがその人間がいっぱい水のみに、やっぱり入ったんでしょうね。
 それから「みず 水」ゆうて這ってくるんですよ。それでもう足を引っ張るんですよ。私も、もうけっちらかしたのを憶えてますけどね。 

 それから全部立ってる人は、幽霊みたいに手をこうしているんですね、だらぁっとさがっているんですよ。皮なんですょ、全部ね。 
 そしたら、うえから汽車が下ってきたわけですね、そいでのぼってきたもんだから手を上げて停めて、もう一歩、車内に、客車内に入りこんだら、いっぱい来ているんですよ怪我人が。

 ここまで来たときにロッキードですかね、双発双胴がおったですな、あれがワァーッと、低空できたんですょ。

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