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昭和十六年一月一日~五月三十一日

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あんみつ姫

通常 昭和十六年一月一日~五月三十一日

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2008/10/24 11:20
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
一月一日(火) 晴 暖
 想はざりし紀元二六〇一年を故里で過ごそうとは。山に登って内海の海を眺める。

一月二十四日(金) 晴 暖
 朝、六時五十分の船で高松へ、高松泊。

一月二十五日(土) 晴 暖
 高松発午後十時二十八分の鉄道連絡船《注1》で宇野港へ、午後十一時五十四分宇野発、鳥羽行で零時五十二分岡山着、岡山発一時十五分の特急「サクラ」に乗る予定の所寝すごして乗りおくれる。

一月二十六日(日) 曇後雨 稍寒し
 朝十時五十五分下関着。時間があったので、壇乃浦、赤間関、文久三年毛利氏の外艦打払の台場等を見る。風強く吹き波高し。晩十時半発の関釜連絡船《注2》に乗る。船中大いに混む。

一月二十七日(月) 曇 (車中)
 朝六時、釜山《ふさん=注3》着、新京《注4》行特急「望」に乗る。満席。プラットホームで中台先生にお会いする。列車中より外を眺める。今日は大陰暦の元旦、鮮人の服装も派手やかである。洛東江《注5》も結氷して居るが薄氷、江長五二九キロメートル北に行くに従い雪は増し、道は泥濘《ぬかる》む。
車中うとうとしながら安東《注6》駅にて税関検査終る。多量に仕入れて来た煙草は無事。

一月二十八日(火) 晴 寒し
 十三時五十分列車新京駅着。新京近くなると雪の平原が現われる。

一月三十日(木) 曇 寒し
 昨夜駅小荷物受取所で「トランク」が紛失しているのが解る。種々調査の結果大和ホテルの者が持ち帰っていることが判明。後程送って貰うことにする。
 列車発車遅れること二時間、また哈爾浜に遅れて着くこと十時間。車内スチーム通らず、寒く一晩眠られず。
 学校は無試験の者の検定と引越があるとて取り込んでいた。学校は暖かく、寮は寒い。

一月三十一日(金) 晴 寒し
 朝室内が大変寒い。昨夜は頭を出して眠ると凍えそうになるので蒲団を頭からかむって寝た。起床十一時、室の掃除をして登校、室は大変汚ない。一号室の者全員揃う。

注1:宇高連絡船は岡山県の宇野駅と香川県の高松駅を約1時間で結ぶ航路です 昭和63年4月9日で廃止された
注2:戦前の鉄道省が本州の下関から朝鮮の釜山間の鉄道連絡船
注3:今の大韓民国東南の都市
注4:現在の中国東北部の長春で満州国建国当時の首都であった
注5:韓国南東部にある洛東江は長さ525km
注6:韓国慶尚南道の北部にある都市(アンドン)

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あんみつ姫

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