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Re: 昭和十六年一月一日~五月三十一日

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あんみつ姫

通常 Re: 昭和十六年一月一日~五月三十一日

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2008/10/24 11:47
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
松岡外相に随行の三期野口さんの講演あり

 四月一日(火) 晴 暖
 進級者発表。二年生全員進級。
一年生は森山(李)台昌、ワンジラが退学。西岡三郎君、潘鴻文、范専郷等が原級に留まる。

 四月五日(土) 晴 暖
 すっかり暖くなった。外部では気温も朝零度、午後には十度まで昇る。
 寮の部屋の割当定まる。元の通り一号室。馬場、鈴木、早瀬君が移って来た。

 四月八日(火) 晴 暖 風強し
 始業式が午前十時からあり。午後から風が吹き出した。蒙古風が今年は早そうだ。

 四月十一日(金) 晴 暖
 柔道部の坂崎さん帰って来る。ヒョロ長い人だ。(1)
 寮の規則発表。寮の改革は掛声ばかりで実質的には何の変化もない。

 四月十二日(土) 晴 暖
 桜木先生が露作文の時間に河面君がプリントを忘れて来たと、傍へつめ寄ってカンカンに怒っていた。其の上授業後直ちに来る様厳しく申し渡した。皆呆然としてあっけにとられた。何もそこまで怒らなくても良いのにと。
 民法の遠藤先生の初授業あり。哈爾浜地方法院の裁判官。

 四月十三日(日) 晴 暖
 今日は猫柳の祭の日。いはば復活祭の前祭りで二十日が一番盛大だそうだ。

 四月十四日(月) 曇 雪 暖
 日ソ中立条約《注1》成立す。吾々にとって喜ぶべきことだろう。松岡外相頑張って下さい。

 四月十五日(火) 晴 暖
新一年生哈爾浜到着の日。午後一時二十八分駅着。校庭に整列して待つ。

 四月十六日(水) 晴 暖
 授業なし。九時から入学式あり。院長日く「国士とは内閣総理大臣の心を以てその職場に於て最善を尽くすことである」と一体何のことかさっぱり解らない。

一時より新入生歓迎会あり。例年の如く皆野次り倒した。院長の詩吟あり。盛大の裡に終る。帰寮後七時頃より寮の歓迎会あり。前庭で火を燃やしてストームあり。各室共被害甚大、一号室は一番奥にあった為か被害なし。

 四月十八日(金) 雪 寒
 非常に寒く雪が旺に降っていた。一日中断続的に降り続く。

 四月十九日(土) 
 ユーゴスラビアは遂に獨に降服、バルカンはその制圧下に置かれるだろう。
 夜十時頃からサボールへ復活祭を見学に行く。最初はもの珍しかったが途中長々として退屈、最後は途中で雪が降り出し、素晴らしい美しい光景を描き出していた。帰ると午前二時。

 四月二十二日(火) 曇 寒
 国民道徳は梅村学監の担当となる。又一年間「栗」見て暮すか。(2)
 松岡洋右の今回の訪欧に随行した学院三期生の野口芳堆氏の訪欧のお話し及び露西亜事情について種々お話を聞く。其の後先輩としての希望を述べられたがその内に「先輩を頼り極力利用すること、そしてその間を親密するように」と説かれた。

 四月二十三日(水) 雪後晴 寒           
 朝から雪が旺《さかん》に降る。今頃雪なんぞ頗る不愉快。春日が遂に引越す。蒲団等皆が手分けして運ぶ。   
       -
 四月二十五日(金) 晴 暖
 真に近来にない日本晴、而も大変暖い。靖国神社の臨時大祭。院長の語法を借りれば大御稜威《おおみいず=注2》の然らしむ所であろう。十時から式典。後忠霊塔参拝。

 四月二十七日(日) 快晴 暖
哈爾浜神社春の祭礼。鈴木君とブヘットへ寄る。一年生が澤山居て片言の露西亜語を喋っていた。

 四月二十九日(火) 晴 暖風強し
 朝大掃除。九時から天長節《注3》の記念式典。すっかり暖くなり木の芽も綻びかけた。愈々蒙古風が吹き荒れ始めた。

(1)
四月十一日 「坂崎さん」 二十期で病気で休学して二十一期になった人だが、名簿にはない。熊本県の人。

(2)
四月二十二日 「栗」 梅村学監の見事な頭の事。満洲国軍の中将となって学校を去った。昭和二十五年四月十五日ナホトカ発、十七日舞鶴着の引揚船明優丸で見たが、声は掛けなかった。

注1:1941年に日本とソビエト連邦との間で締結された不可侵条約
注2:天皇の威徳 威光
注3:天皇誕生日

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あんみつ姫

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