成瀬孫仁日記(三) 昭和十六年八月~九月
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成瀬孫仁日記(三) 昭和十六年八月~九月 (kousei2, 2008/11/4 9:47)
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投稿日時 2008/11/4 9:47
kousei2
投稿数: 250
引き続き、哈爾浜学院21期生の同窓会誌「ポームニム21」に寄稿された「成瀬孫仁日記」を、許可を得て記載いたします。
ブヘット・マルス・池田
八月一日(金) 晴 暖
朝六時起床。深坂宅へ。又迷惑を掛ける。馬場、福永、深坂と共に南新京駅より乗車。軍隊の輸送に廻されて、列車運行本数減少し、車内混雑を極める。午後十時四十分。哈爾濱着。「しまや」で氷二杯宛。「ブヘット」でクワース二本。
八月二日(土) 晴 暖
朝六時起床。洗面。洗濯後登校。駅、スンガリーを廻って帰校。
昼食後、柔道場の畳の上で夕方まで寝る。二十期の清水裕久さんの下宿に行く。不在。田峰宗八さん(20期)の下宿に寄る。三年生は院長に騙されたとぶりぶり怒っていた。
八月三日(日) 晴後雨 暖
朝から洗濯七枚。昼食後街に出る。雨に会ひビッショ濡れ。寒し、「マルス」に逃げ込む。
三年生は喧々囂々議論、愈々悲観論が旺んである。併し皆元気に微笑して議論を楽しんでいる様に見える。
院長にあれだけ騙されて、将来を棒に振り、一身を犠牲にする国士か? 頭が下がるか?
八月四日(月) 晴 暖
太陽島で二年生、一年生の合同園遊会あり(1)。 先生方も多数参加されて愉快な時を過す。宝さがしがあり靴下三足貰う。帰途「池田」へ寄り例の「原節子」に似た目のパッチリした美人を見て安心して帰る。
晩、春日とオデン屋三軒飲み廻る。最後に「たぬき」で親爺に散々説教せられる。
八月五日(火) 晴 暖
起床八時。九時より始業式あり。授業なし。院長の訓示がおとなしいのが物足りない。悪党にはそれらしい言葉が出ないとおかしい。
午後街へ出る。春日と下宿を探す。最近春日とは運命共同体的なものを感じる。死ぬ時一緒に死ぬのかなあ。
夜、原田さん、山田さん、馬場、鈴木、福永、春日と「ほてい」「翁庵」を廻る。二日続きで堪える。
八月六日(水) 晴後雨 暖
午前中授業あり。午後又も春日と一緒に下宿探し。ないので最後に露人小学校の広瀬先生の所へ行く。絶世の美人も夢の中。柔い感じがすごく魅惑的だ(2)。
八月七日(木) 晴 暖
午前中張り切って授業。昼食後、又春日と下宿探しに街へ出る。
皆続々下宿し始めた。心の中でお前は寮に残れと言う声が聞こえて狼狽する。
八月八日 (金) 晴 暖
朝寝坊をして第一時間目の授業に遅れる。入学以来始めてのこと。
星野さんが新京へ発つのを見送る。
「ニェット、コムナター」。最後に広瀬先生の所へ行ったが拒られた。当然だろう。独身の美女である。露西亜語の「下手」な男が露西亜語ベラベラな女に惚れたのかな?
四国県人会の送別会あり。「グロート」で二次会、「内蔵之助」で三次会。盛大である。胡麻本先生も出席された。
八月九日(土) 晴 暖
午前中三時間授業。年後春日と又下宿探し。室の送別会あり。
「大安グリル」「緊楽」で飲む。会の前に秋林の前の食堂で夕食を済ます。
晩、「池田」へ「原節子」に会ひに行く。貴女好きだと言いたいがロから出てこない。馬鹿め!! 始めてやけに煙草を喫う。
夜、「バス」の中で聡明そうな御婦人と隣りになる。横の露人の御婦人とロシヤ語でにこやかに話をして居られる。隣りで聞いていると解らない所がある。女に負けるか。発奮せよ。
八月十日(日) 晴 暖
春日と下宿探し。無い。諦める。
八月二日遂に米ソ経済援助協定締結の新聞記事あり。
(1)
八月四日 太陽島の園遊会。この後も時々あるが、行ったと言う記憶がない。
(2)
八月六日 「絶世の美人広瀬先生」も頭中にも文脈の内にも浮かんで来ない。
ブヘット・マルス・池田
八月一日(金) 晴 暖
朝六時起床。深坂宅へ。又迷惑を掛ける。馬場、福永、深坂と共に南新京駅より乗車。軍隊の輸送に廻されて、列車運行本数減少し、車内混雑を極める。午後十時四十分。哈爾濱着。「しまや」で氷二杯宛。「ブヘット」でクワース二本。
八月二日(土) 晴 暖
朝六時起床。洗面。洗濯後登校。駅、スンガリーを廻って帰校。
昼食後、柔道場の畳の上で夕方まで寝る。二十期の清水裕久さんの下宿に行く。不在。田峰宗八さん(20期)の下宿に寄る。三年生は院長に騙されたとぶりぶり怒っていた。
八月三日(日) 晴後雨 暖
朝から洗濯七枚。昼食後街に出る。雨に会ひビッショ濡れ。寒し、「マルス」に逃げ込む。
三年生は喧々囂々議論、愈々悲観論が旺んである。併し皆元気に微笑して議論を楽しんでいる様に見える。
院長にあれだけ騙されて、将来を棒に振り、一身を犠牲にする国士か? 頭が下がるか?
八月四日(月) 晴 暖
太陽島で二年生、一年生の合同園遊会あり(1)。 先生方も多数参加されて愉快な時を過す。宝さがしがあり靴下三足貰う。帰途「池田」へ寄り例の「原節子」に似た目のパッチリした美人を見て安心して帰る。
晩、春日とオデン屋三軒飲み廻る。最後に「たぬき」で親爺に散々説教せられる。
八月五日(火) 晴 暖
起床八時。九時より始業式あり。授業なし。院長の訓示がおとなしいのが物足りない。悪党にはそれらしい言葉が出ないとおかしい。
午後街へ出る。春日と下宿を探す。最近春日とは運命共同体的なものを感じる。死ぬ時一緒に死ぬのかなあ。
夜、原田さん、山田さん、馬場、鈴木、福永、春日と「ほてい」「翁庵」を廻る。二日続きで堪える。
八月六日(水) 晴後雨 暖
午前中授業あり。午後又も春日と一緒に下宿探し。ないので最後に露人小学校の広瀬先生の所へ行く。絶世の美人も夢の中。柔い感じがすごく魅惑的だ(2)。
八月七日(木) 晴 暖
午前中張り切って授業。昼食後、又春日と下宿探しに街へ出る。
皆続々下宿し始めた。心の中でお前は寮に残れと言う声が聞こえて狼狽する。
八月八日 (金) 晴 暖
朝寝坊をして第一時間目の授業に遅れる。入学以来始めてのこと。
星野さんが新京へ発つのを見送る。
「ニェット、コムナター」。最後に広瀬先生の所へ行ったが拒られた。当然だろう。独身の美女である。露西亜語の「下手」な男が露西亜語ベラベラな女に惚れたのかな?
四国県人会の送別会あり。「グロート」で二次会、「内蔵之助」で三次会。盛大である。胡麻本先生も出席された。
八月九日(土) 晴 暖
午前中三時間授業。年後春日と又下宿探し。室の送別会あり。
「大安グリル」「緊楽」で飲む。会の前に秋林の前の食堂で夕食を済ます。
晩、「池田」へ「原節子」に会ひに行く。貴女好きだと言いたいがロから出てこない。馬鹿め!! 始めてやけに煙草を喫う。
夜、「バス」の中で聡明そうな御婦人と隣りになる。横の露人の御婦人とロシヤ語でにこやかに話をして居られる。隣りで聞いていると解らない所がある。女に負けるか。発奮せよ。
八月十日(日) 晴 暖
春日と下宿探し。無い。諦める。
八月二日遂に米ソ経済援助協定締結の新聞記事あり。
(1)
八月四日 太陽島の園遊会。この後も時々あるが、行ったと言う記憶がない。
(2)
八月六日 「絶世の美人広瀬先生」も頭中にも文脈の内にも浮かんで来ない。