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Re: 成瀬孫仁日記(四)昭和十六年十月~十一月

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kousei2

通常 Re: 成瀬孫仁日記(四)昭和十六年十月~十一月

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2008/11/4 10:39
kousei2  長老   投稿数: 250
十一月一日(土) 晴 暖 零下一・五度
 暖かー。春の様で汗びっしょりになる。身体検査をさぼって、辻さん(1)と一緒に街へ出て食事。官吏消費組合、常盤食堂と廻る。
 今日から暖房の「スチーム」が通る。部屋が道理で暖かい。

十一月二日(日) 晴 暖 零下一・五度
 今朝も大変暖か。午前中、部の練習あり。晝食後、街へ出る。哈爾濱書店で経済地理学概論、ロシヤ人の古本屋で「ロシヤ国土の歴史」を買う。
 寮では「スチーム」をがんがん通して暑くって仕方がない。裸になる。

十一月三日(月) 晴 暖 零下一度
 朝から戸外も暖かだが「スチーム」が通り寮内も初夏のようだ。
 明治節《注1》。十時から学校で拝賀式あり。午後、大道館で武道大会あり。
 帰途久し振りに「ジャンズ」(2)二杯。

十一月四日(火) 晴 暖 零下四度
 風がないので温度に比べて大変暖かい。此の頃は食事の食べ過ぎの感あり。胃に悪し。朝、四杯、昼、三杯、夜四杯位に限定しようか。
 今日も満語(3)の課業あり。

十一月五日(水) 暖 零下四・五度
会話の試験あり。自身満々事に当たる。(ポ氏)。結構、一撃に粉砕とは一人想い。相変わらず十人位しか出席していない。
 古本を売りに出す。気味が悪い程売れる。が入ってくる金は細かなものである。
 帰寮途中、月が野原の端から顔を出す。赤い十七日の月が昇る。

十一月六日(木) 暖 零下四度
 福永、藤原共に欠席する。学校では欠席、欠講の者が著しく目立ち始め問題になって来ている。特に会話の時間の出席者少なく、講師の先生が落第をさせるとか何とか言ったと噂しきり。

十一月七日(金) 暖 零下五度
 哈鉄厚生会館へ晩飯携行で武道練習。満鉄職員、鉄道学院生、工大生、医大生等多数参加。今日から五日間毎日。
 帰途、春日、馬場等と馬家溝の“大陸茶房”に寄る。薄汚い油光りのする食卓の上で持参の白砂糖タップリ、ジャンズ三杯。
 ソ聯、十月革命記念日、実感がない。

(1)
外交部へ行った20期の辻七郎氏。

(2)
日本でも最近一時流行した「豆乳」のこと。

(3)
学生の要望で始めた課外授業の満語のこと。

注1:戦前の明治天皇の誕生日を寿ぎ偲ぶ日

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