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Re: 成瀬孫仁日記(九)昭和十八年六月~昭和十八年九月

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あんみつ姫

通常 Re: 成瀬孫仁日記(九)昭和十八年六月~昭和十八年九月

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2009/3/30 12:41
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
七月
  四日(日)
 学監が怒る。溝口先生が興奮する。朝起きない者がどしどし学監に殴られた。少将閣下が手前から手を出すとは驚いた。

 六日(火)
 米内先生が寮に泊り込み、作業に大改革を加える。日系の殆んどが勤労奉仕を止めて出ていく。

 七日(水)
 午後から夕方にかけて、スンガリーで野道会を行う。
 夜学監に呼びつけられて取締不行届と叱られる。

 十九日(月)
 昨日市民病院に行くと日本に帰れと言われる。明日帰ることにする。

 二十日(火)
 哈爾浜を発つ。昨年まで帰省は制服、制帽で真面目であった。今年は登山帽に半ズボン、運動靴とはちょっと軽装過ぎた感がないでもない。

 二十一日(水)
 朝、新京着。晩の「ひかり」で釜山へ発つ。

補記
 七月四日 北寮での農作業に皆出ないで、さぼってばかりいるので監督の先生方が怒ったのだろうと想像されるが、僅かな記憶しかない。第一米内先生や川村先生はいくら怒ってみても眼が笑っているのだから、どうにも仕様がないだろう。

八月
 二十六日(木)
 早朝、六時三十五分小豆島を発つ。十六時二十八分高松発宇高連絡船。夜二十三時三十五分岡山より下関行き不定期急行に乗車。

 二十七日(金)
 朝十時頃、下関にて関釜連絡船乗船。波ゆるやかに高く「ローリング」激し。

 二十九日(日)
 十二時四十分哈爾浜着。すごく涼しいのに驚く。熱い紅茶がおいしかった。

 三十一日(火)
 哈爾浜地区航空大会あり。学院東側の飛行場に無慮「八万人」集まる。「隼」《注1》もいた。

九月
 二日(木)
 九月二日より九月七日まで北寮の北方にある満州第九二部隊で兵営宿泊。習志野の伝統ある騎兵聯隊で「ノモンハン」で全滅した東部隊だと。

 朝五時半起床。点呼。朝食まで二時間余り現役の兵隊相手に銃剣術、馬屋の掃除、馬糞と小便のアンモニヤの臭いの中で馬糞をモッコに入れて担ぎ出す。朝食を急いでかき込み。食器洗いをすませる。九時より午前中の教練、演習が始まる。昼まで練兵場を這い回り、昼食後一時半より午後の課業。御丁寧にも夜は毎晩のように夜間演習。助教の軍曹が教官である幹侯の少尉に「こりゃ兵隊よりもひどい。ちょっとやりすぎじゃありませんか。この学生の相手をしていると、こちらの体がもちませんわ」と言うと少尉殿日く「この学生達は恐らく今年繰上げ卒業で関東軍だ。どうせ皆幹侯《注2》だから良い経験だ」と。

注1:陸軍の戦闘機
注2:陸軍の幹部候補生

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あんみつ姫

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