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Re: 成瀬孫仁日記(九)昭和十八年六月~昭和十八年九月

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あんみつ姫

通常 Re: 成瀬孫仁日記(九)昭和十八年六月~昭和十八年九月

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2009/3/30 12:59
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
九月
 九日(木)
 文教部主催、初めての国立大学総合演習が新京であった。参加人員二五〇〇名。四年生のみ参加。朝六時三十分新京駅下車。行軍で南新京駅近傍の敷島高等女学校に向う。約一里半。途中大雨、びしょ濡れになる。十三時三十分行動開始。南湖、建国神廟を経て畜産獣医大学より南方約二里の所で遭遇戦。高梁畑を横ぎって行く。機関銃が重い。死ぬ思い。晩、歓喜嶺の分水嶺の線まで退却。退却時後衛《注1》となる。途中また大雨に会いびしょ濡れとなる。夜に陣中勤務歩哨《注2》となる。濡れた服を乾かす暇もなく炭火を囲んでごろ寝。寒さに震える。朝五時に起されて斥候《注3》に出される。途中で一度軽機《軽機関銃》の空砲をバリバリ撃つとスウッとした。
 大同大街、法政大学前で分列行進。後解散。昼食は医大。夕食は新京商業。
 夜新京発十時二十五分の列車で帰哈。その間自由時間あり。

 十五日(水)
 就職の割当発表あり。日系、関東軍二十五名、官庁八名、協和会十名、外務省五名、満鉄二名、会社十名、満系、官庁五名、会社五名。
 北方亜細亜研究会の引継ぎのため白井長助教授宅を訪問。例によって例の如く愉快なり。

 十八日(土) 晴れ時々曇り
 防空日。忠霊塔の秋の大祭。市街はカーキ色のゲートルで一杯。私の就職先は八〇〇部隊に決定したと。

 二十日(月) 晴れ風砂烈し
 今日より建大《建国大学》の尾上正男教授、国際法集中講義一週間。
 朝登校途中「ツッカケ」の下駄が割れる。裸足で歩いていると皆変な顔をして見る。寒風が吹いているのに素足に土が暖かい。

補記
 九月十五日 就職の割当人員が最終的にどうなったかは私は覚えていない。併し、徴兵延期の停止、入隊が決まってからは何処に就職しようと関係ないと無関心であったように思う。

注1:行進部隊の後方に配置 敵の奇襲から主力部隊の安全を確保する警戒部隊をいう
注2:警戒、監視の任つく兵
注3:敵状を偵察する任務

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あんみつ姫

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