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Re: 大事な家系図

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あんみつ姫

通常 Re: 大事な家系図

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2004/2/24 14:29
あんみつ姫  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 485
回顧すれば昭和二十年八月十五日 四年にわたった大東亜戦争《=第2次世界大戦1939~1945のうち1941~1945》は終結しました。
当時吾々《われわれ》家族ハ《は》、旧満州国《=日本が中国東北部に作った仮の国家、敗戦により消滅》興安東省札蘭屯の政府官舎に居た。

以前からの情報により 日本軍の敗色は疑うべくもなく、米ソ《=アメリカ・ソビエト社会主義共和国連邦》、中国と、大国敵中の孤立 日本人全滅は火を見るより明らかだった。ここに於《おいて》 警務庁分室の吏員《りいん=公務員》その家族一同覚悟の決死を聞かされた時、将来性豊かの青壮年達のために泣いた。

その矢先十五日の正午、天皇陛下の畏き《かしこき=おそれおおい》御詔勅《ごしょうちょく=天皇の書かれた文書》が放送され「臣民《しんみん=人民》一同強く生きよ」との御言葉。 ここに於 吏員談合の結果、脱出計画を決められた。

息子の武は事務官として最後の処理に当たらねばならない急場を 寸時《すんじ=少しの時間》帰宅して曰く《いわく=言うことには》「荷物は最小限度とし三段階に分けて、直先《まっさき》に捨ててよいもの、次に捨てるもの、捨ててはならないものと区別して荷造りすること、それを二時間以内に」

嫁の久子と私は生きる為に途中の食料も作らねばならない。隣組《となりぐみ=戦時中町内会の下に作られた班》からの回覧板には「布団類は梱包《こんぽう=荷造り》して送り先を縫い付けよ」などと書かれ、全く途方にくれて何から手を下してよいのやら正に周章狼狽《しゅうしょうろうばい=あわてふためく有様》の態だった。

先ず失ってはならないのは家系図だった。書類を一所に納めたと思ふ《う》箱の中を懸命にさがしたけれども見つからない。心の動揺と焦燥《しょうそう=あせり》は高まる。時間の徒《いたずら》に経《た》つのがもどかしく、詮方なく《せんかたなく=仕方なく》遂にあきらめた・・・

                           続く

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あんみつ姫

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