[No.178]
いちおうのまとめ
投稿者:男爵
投稿日:2013/05/31(Fri) 07:37
[関連記事] |
> > > > > > > > > > 第18章 SPEEDIは動いているか
> > > > > > > > > > 放射性物質の広がりを気象条件などをもとに迅速に予測するシステムSPEEDI。
> >
> > > 14日午後、細野首相補佐官は、文部科学省の加藤審議官を部屋に呼びつけた。
> > > 「放射線モニタリングをちゃんと取らないと大変なことになる」
> > > 細野はそう言ったと後、加藤に文科省がどんなふうにモニタリングをやっているのか、その結果はどうなのかと質した。
>
> この本には、その後
> うなぎみたいにのらりくらりの文科省の姿勢が書かれています。
形式的には
SPEEDIを管理するのは文科省なのだが
それなのにさっぱり活用しない。
官邸から催促を受けた文科省は、枝野裁定があいまいな日本語なのをいいことにして
下請けに仕事をさせようとします。
つまり文科省は元請けで、丸投げをしようと考える。
前回までは281頁 このあと第18章は296頁まであります。
このままのスピードでは、あと一週間くらいかかりそう。
この本の返却時期が迫ってきているので一旦ここでしめます。
後で時間があったら追加補足する予定です。
> それに、WSPEEDIは、放出量が100%、つまり全原子炉が壊れた場合を前提で計算している。
> そんな高い放出量で予測することが果たして妥当なのかどうか。
SPEEDIもWSPEEDIも、使うデータによって結果はさまざまとなります。
それは、この種のシミュレーション問題ならよくあること。
たとえば建物の耐震診断でも
筑後何年かによって柱とか床の痛みが進行するから
新築のときにくらべると強度が低下します。
柱と梁の結合だって、理想的に強固なのか、ゆるくてがたがたなのか
それぞれ違うから、それを数式に載せるのは実は難しいことだと建築家も本に書いています。
SPEEDIを使って計算するのは誰でもできます。
しかし、問題は入力データで
原子炉からどのくらい危険な放射線が出たのかは
現場にいけないから誰もワカリマセン。
推定するしかないのです。
そして、その推定値が多すぎても少なすぎても、きっと問題になります。
そういう責任を取りたくないから、どこでも逃げるのでしょう。
文科省は建前上は自分の仕事だとして政府から押しつけられますが
ハッキリ文科省から汗を流せとは言われなかったのをいいことにして
原子力安全委員会に丸投げしようとします。
ソフトもオペレーターもお金もみんな文科省が面倒見るから、仲良くやろう等
うまいことを言ってだまそうとします。
というのは原子力安全委員会の側の人が口々に述べていることです。
さすがの斑目も、電話をかけてきた文科省の森口のことを「あれは悪党だね」と言います。
保安院は、はじめからやる気なし。文科省もできないから原子力安全委員会にさせようとする。
結局人のよい原子力安全委員会がすることになります。
第19章では
どういう数値を与えたらいいか困っている原子力安全委員会に対して
枝野が斑目に、測定した結果にあわせて数値を仮定して入力したらいいと知恵をつけます。
この本では、モニタリング結果から逆算すると書いてあります。
文科系の枝野の提案に、そんな方法があるのかと感心する斑目
でも、これは現象を数値モデルで解こうとするときはよく使う手法です。
理学部の斑目にしたら目から鱗かもしれないが、工学部の人間にしたらアタリマエのこと。
数値モデルの式をたてて、計算に使う入力データや特定係数などの数値をどう与えるかは、測定値に近ずけるよう色々数値を変えて計算し、理論値と計算値がちかくなるようにする。
だから
この原発の問題でいえば、モニタリングして何点かの測定値があるから
その結果になるようSPEEDIの入力値、つまり原発の原子炉から出る放射線量を推定し
理論値と測定値が一致したら、そのシミュレーションで他の地点の放射線量を計算するわけです。
官邸も福島県もこうして放射線の分布は把握したようですが、国民に動揺を与えてはいけないからと発表しなかったのでしょう
でも、真実を発表した方がよかったのではないでしょうか。