モンテンルパの夜は更けて・7
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モンテンルパの夜は更けて (編集者, 2009/11/29 8:16)
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- Re: モンテンルパの夜は更けて (えー, 2009/12/25 21:47)
編集者
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正康氏の思い出
平成21年6月11日、伊藤正康は心不全のため逝去。86歳であった。
筆者は正康氏の甥にあたる文人画家の加藤不譲氏を訪ねた。不譲氏を紹介してくれたのは書家の岡田巌氏。
不譲氏は私の顔を見るなり「うちの庭に芙蓉がある。正康が植えたものだ。今年は咲かないなと思っていたら6月11日朝、真っ白で大きな花を咲かせた。すると正康の死の知らせが来た」。
不譲氏に連れ立って、正康氏の甥の伊藤芳彦宅へ。芳彦氏は元教師で知多市教委などに勤務された方だ。
「片山桂先生のことはよく話していた。名実ともに恩師だ」。
「正康とはよく酒を飲んだが、いくら酔ってもモンテンルパの話はしなかった。辛い思い出だったのだろう。私も訊きはしなかった」。
「モンテンルパから来る正康の手紙はちり紙だよ。トイレットペーパーに書いて来るろん日本語の歌である。
大統領は日本兵に妻と二人の子も殺されていて許しがたい怨念を持っていた。しかし、歌の力は国境を越え、言語を超え、怨念をも超えた。
○
伊藤正康氏の思いを意外なところで発見した。
楽曲には総て著作権があり、日本の音楽著作権は日本音楽著作権協会(1ASRAC)が統括管理している。ここを通じて著作権使用料を徴収し、著作権者すなわち作曲家や歌手に支払われる。
歌詞を掲載する本紙も例外ではなく支払い手続き一。ところがこの曲は1ASRACへ無信託。すなわち印税を放棄している。誰でもご自由にということだ。
作詞の代田、作曲の伊藤、そしてプロである渡辺はま子も印税を放棄した。3人のこの歌に対する思いが強く伝わる行為である。
冤罪で逝った戦友への鎮魂。戦争の遺した不条理。
「ああモンテンルパの夜は更けて」にはそんな思いが込められているのであった。
・参考文献
○『モンテンルパに祈る』加賀尾秀忍著(国書刊行会)
○『モンテンルパの夜はふけて』中田整一著 (NHK出版)
・資料提供(掲載の写真もすべて)
○伊藤芳彦氏
○加藤不譲氏
-完-