[No.247]
Re: 京のおばんざい
投稿者:男爵
投稿日:2013/01/21(Mon) 15:55
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2月
かすじる
比叡おろしの冷たさに、粉雪までチラチラして「おお寒む」と飛んで帰ったわが家の食卓に、湯気をたてるかすじるのうれしさ。
京都の南、伏見区は日本でも有名なお酒どころ。裏日本の農村の男衆が、お酒造りに蔵入りして、底冷えの冬の寒造りにせいを出しはる。
大正のころまでは、新かすができると、造り酒屋の軒先に、直系七十センチもある笹の葉でつくった玉をぶらさげて、人に知らせたそうな。
にんじんもおだいも千六本に切って柔らこう炊き、酒のかすを細かくして入れ、お揚げの細切りをほうりこんだだけの、ごく簡単なおつゆだが、やはり酒蔵から絞リたての板がすは香りがちがう。
塩をきかしておしょうゆはひかえめに、決してグラグラ煮返さないこと。
だしはだしじゃこでも、おこぶとかつおでとってもよい。塩ぶりや塩ざけの頭やアラをこなして、おつゆに入れると、こってりした味が楽しめるけれど、必ず熱湯を通して生ぐさみを抜き、少なめに入れるほうが持ち味を生かしておいしい。
板がすが固いときは、だしに細かくくだいて、しばらく漬け、すり鉢でざっとすってから入れると早くとける。
もう近ごろはすべて機械が設備されて、お酒造りも変わったらしいが、わたしの子どもの時分は酒蔵の横を通ると、ゆるやかな、酒屋唄が聞こえてきたものだった。小さな高い窓から光の帯が外へ流れ、そのあかりのなかだけに白い雪が舞っている。長くあとろを引く唄のひびきは悲しくて、子ども心にもせつなかった。
上に書かれてある造り酒屋の軒先の笹の葉でつくった玉のことは
当地では
杉玉といって、スギの葉(穂先)を集めて玉状にしたものである。
今年も新酒ができましたと、造り酒屋が知らせるものであったという。
寒い冬の酒造りの仕事は厳しいものだから、なり手が少ないと聞く。
しかし、杜氏の資格をとれば、ひっぱりだこであろう。