Re: 成瀬孫仁日記(六)昭和十七年四月~昭和十七年八月
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成瀬孫仁日記(六)昭和十七年四月~昭和十七年八月 (あんみつ姫, 2009/3/16 8:38)
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あんみつ姫
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十六日(木)晴 暖
小谷(保・のち玉置)先生の新任式あり。法律学教授。バサッ(ボサッではない)とした感じ。学究的でない感じ、併しこれは当てにならない。つまり大陸的、満州的な感じ。案外将来の大物的感触がある。
十七日(金)晴 暖
朝から春日と街へ出る。名古屋グリルに行く。定価表を見て高かったので丸商へ行き、かつどんとそばを食って哈爾潰会館へ入る。
〝風の又三郎″俺は断然又三郎になった子供が気に入った。春日は風見章子に気があるらしい。 〝海の見える家″小豆島を想って見たが、つまらない。
会館を出て中央飯店で夕食、金がないのでビールも飲まないで帰る。
十八日(土)晴
〝束京空襲さる″とのニュースあり。大いに驚く。何も言わずに海軍の活躍を待つ。名古屋、神戸も同様に襲撃されたと。
十九日(日)晴 蒙古風激し
朝からひどい蒙古風が吹き、目も明けていられない。口はザラザラだ。脚が痛かったのに柔道の練習したので、学校から寮への途中脚がおかしくなり三度転ぶ。夕食の弁当も二人で別けて食べた。
ひどい日だったが、プヘットで飲んだモロコーの味は大したもんだ。
川村先生宅へ寄る。ウドンを御馳走になる。寮に帰って話し合った。あれ先生宅の夕食を皆食ってしまったんではないか、年の一番上の奴があやまりに行けと云ったが、どうなったか。
二十日(月)晴 暖
川辺が赤十字病院に再び行く。帰ると痛そうにして寝ていた。
二十四日(金)晴 暖
すっかり春らしくなった暖い天候である。こうなるともう気持が抑えられない。二時間目からさぼって街に出る。
平安座に入り〝暖流″を見る。水際の砂浜でボロボロ涙を流して泣く高峰三枝子の姿は感動的であった。他に文化映画〝銀杏″、日本ニュース第九十六報。
夜、自習室で寮のコンパあり。百芸続出、十一時過ぎまで続く。
二十五日(土)雨 暖
靖国神社の臨時大祭。天皇陛下親しく英霊に御親拝あらせられる午前十時十五分を期して講堂で式典を行う。
其の後、半田(清春)先生と別離の記念写真をとり、次いで食堂で送別会を行う。皆、感概を込めて先生を送る。先生は学院生に対して、学院生は内地の学生に比べ次の五ケ条だけ余計に頑張ってもらわねばならないと離別の言葉を残された。
一、ロシヤ語を良くすること。
二、ロシヤ、ソ聯の事情に良く通じること
三、ソ聯、ロシヤの歴史、経済、法律、社会を良く理解すること。
四、右の事を実地に生かす手腕を有すること。
諸君にはチタ《注1》か、トムスク《注2》か、又はハバロフスク《注3》か何処かで再び相会おう。私は日本の北方国策に身命を賭けている、と。
午後、北方亜細亜研究会第三回例会で白井(長助)先生の御話あり。
寮へ帰る。一人で歩く。小雨がシトシトと降っていた。楽しい夢は自分の胸の中にだけある。
夜、一年生が学院の改革とか何とかと云う問題を提起して来て夜中の一時半頃まで論議し合った。
二十六日(日)雨 暖
朝は降っていなかったのが十時頃から猛烈な雨となる。今年は雨年らしい。
哈鉄厚生会館で国立大学のリーグ戦の武道大会あり。一般の部もあった。
学院
吉田(工大) × 内股 ○ 木山(学院)
猶井(工大) △ 足払 × 馬場(学院)
× 大場(学院)
向井(工大) × 裏逆 ○ 芝(学院)
塚野(工大) × ○ 平井(学院)
江島(工大) × 上四方 ○ 長戸(学院)
河野(工大) × 体落 ○ 福永(学院)
今村(工大) ○ 脊負ヒ ○ 和田(学院)
肥後(工大) × 左大外刈○ 川口(学院)
1 対 7.5
柔道は医大が棄権。学院と工大のみ。
剣道も医大、工大を破って優勝する。
川辺は病気が悪くて寝ている。
二十九日(水)曇
いよいよ暑くなって夏らしくなって来る。路を歩いていてもひっきりなしに汗が出る。
本日は天長節、学校で式典あり。式後、川辺と一緒に街へ出る。元気そうに見えた。元気そうに振るまっていたのかな。
夜、川村先生に注射して貰う。看護婦より上手。
半田先生十時半の列車で発たれる。皆哈爾浜駅まで送る。
三十日(木)晴 暖
学校から帰って見ると二年生委員が寮の委員は無能だと言っているのを聞いて来て大いに憤慨していた。この晩は米井(徳太郎・14期)先生を中心に二年生委員とも如何にするか協議し合う。
注1:東シベリヤ南部の都市
注2:シベリア西部に位置するロシア連邦の都市
注3:ロシア極東に位置し 日本海オホツク海に面する都市
小谷(保・のち玉置)先生の新任式あり。法律学教授。バサッ(ボサッではない)とした感じ。学究的でない感じ、併しこれは当てにならない。つまり大陸的、満州的な感じ。案外将来の大物的感触がある。
十七日(金)晴 暖
朝から春日と街へ出る。名古屋グリルに行く。定価表を見て高かったので丸商へ行き、かつどんとそばを食って哈爾潰会館へ入る。
〝風の又三郎″俺は断然又三郎になった子供が気に入った。春日は風見章子に気があるらしい。 〝海の見える家″小豆島を想って見たが、つまらない。
会館を出て中央飯店で夕食、金がないのでビールも飲まないで帰る。
十八日(土)晴
〝束京空襲さる″とのニュースあり。大いに驚く。何も言わずに海軍の活躍を待つ。名古屋、神戸も同様に襲撃されたと。
十九日(日)晴 蒙古風激し
朝からひどい蒙古風が吹き、目も明けていられない。口はザラザラだ。脚が痛かったのに柔道の練習したので、学校から寮への途中脚がおかしくなり三度転ぶ。夕食の弁当も二人で別けて食べた。
ひどい日だったが、プヘットで飲んだモロコーの味は大したもんだ。
川村先生宅へ寄る。ウドンを御馳走になる。寮に帰って話し合った。あれ先生宅の夕食を皆食ってしまったんではないか、年の一番上の奴があやまりに行けと云ったが、どうなったか。
二十日(月)晴 暖
川辺が赤十字病院に再び行く。帰ると痛そうにして寝ていた。
二十四日(金)晴 暖
すっかり春らしくなった暖い天候である。こうなるともう気持が抑えられない。二時間目からさぼって街に出る。
平安座に入り〝暖流″を見る。水際の砂浜でボロボロ涙を流して泣く高峰三枝子の姿は感動的であった。他に文化映画〝銀杏″、日本ニュース第九十六報。
夜、自習室で寮のコンパあり。百芸続出、十一時過ぎまで続く。
二十五日(土)雨 暖
靖国神社の臨時大祭。天皇陛下親しく英霊に御親拝あらせられる午前十時十五分を期して講堂で式典を行う。
其の後、半田(清春)先生と別離の記念写真をとり、次いで食堂で送別会を行う。皆、感概を込めて先生を送る。先生は学院生に対して、学院生は内地の学生に比べ次の五ケ条だけ余計に頑張ってもらわねばならないと離別の言葉を残された。
一、ロシヤ語を良くすること。
二、ロシヤ、ソ聯の事情に良く通じること
三、ソ聯、ロシヤの歴史、経済、法律、社会を良く理解すること。
四、右の事を実地に生かす手腕を有すること。
諸君にはチタ《注1》か、トムスク《注2》か、又はハバロフスク《注3》か何処かで再び相会おう。私は日本の北方国策に身命を賭けている、と。
午後、北方亜細亜研究会第三回例会で白井(長助)先生の御話あり。
寮へ帰る。一人で歩く。小雨がシトシトと降っていた。楽しい夢は自分の胸の中にだけある。
夜、一年生が学院の改革とか何とかと云う問題を提起して来て夜中の一時半頃まで論議し合った。
二十六日(日)雨 暖
朝は降っていなかったのが十時頃から猛烈な雨となる。今年は雨年らしい。
哈鉄厚生会館で国立大学のリーグ戦の武道大会あり。一般の部もあった。
学院
吉田(工大) × 内股 ○ 木山(学院)
猶井(工大) △ 足払 × 馬場(学院)
× 大場(学院)
向井(工大) × 裏逆 ○ 芝(学院)
塚野(工大) × ○ 平井(学院)
江島(工大) × 上四方 ○ 長戸(学院)
河野(工大) × 体落 ○ 福永(学院)
今村(工大) ○ 脊負ヒ ○ 和田(学院)
肥後(工大) × 左大外刈○ 川口(学院)
1 対 7.5
柔道は医大が棄権。学院と工大のみ。
剣道も医大、工大を破って優勝する。
川辺は病気が悪くて寝ている。
二十九日(水)曇
いよいよ暑くなって夏らしくなって来る。路を歩いていてもひっきりなしに汗が出る。
本日は天長節、学校で式典あり。式後、川辺と一緒に街へ出る。元気そうに見えた。元気そうに振るまっていたのかな。
夜、川村先生に注射して貰う。看護婦より上手。
半田先生十時半の列車で発たれる。皆哈爾浜駅まで送る。
三十日(木)晴 暖
学校から帰って見ると二年生委員が寮の委員は無能だと言っているのを聞いて来て大いに憤慨していた。この晩は米井(徳太郎・14期)先生を中心に二年生委員とも如何にするか協議し合う。
注1:東シベリヤ南部の都市
注2:シベリア西部に位置するロシア連邦の都市
注3:ロシア極東に位置し 日本海オホツク海に面する都市
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あんみつ姫