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輸送船勝鬨丸の最後3 高崎 廣

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通常 輸送船勝鬨丸の最後3 高崎 廣

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2011/8/11 8:02
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298
 
 翌十二日船団は快速で海南島東方航行中に果然敵潜水艦の攻撃を受けました。始めはタンカーを狙い打ちにしました、魚雷が命中したタンカーは魂を揺さぶる様な爆発音と共に燃上し直昼の様に本船を照らし出します。直ちに船団を解き各船独自のスピードにて魚雷回避の蛇行運動を始めました。燃えさかるタンカーは本船ギリギリに舷々相摩して危うく衝突するばかり早く離れてくれないかと気があせるばかりです。

 各船勿論灯火管制して居りますが潜水艦発見と同時に護衛艦のマストに赤いランプがともり敵潜の方向にむけて曳光弾を発射します。その内に青いランプがつきました。これは敵潜がどこかに行ってしまったのかと思う間もなく赤と青が同時につきました。右舷、左舷の区別だったのです。両舷に現れた潜水艦は十杯も居たのではなかったかと思われる程でした。炎上したが沈まなかったタンカーは翌朝護衛艦の砲撃により撃沈させられた。連日の魚雷攻撃に睡眠不足、一番下の甲板のハッチ船艙のふたに腰かけ両脇に遺骨を抱えて思わずウトウトして居る時、二二時五四分頃いきなりグワーンと云う爆発音と共に直下に魚雷が命中しました。
 船艙のふたと共に飛ばされた遺骨を拾い集めるのがやっとでした。併し本船はその後も約四〇分程は走り続けました。ついにエンジンルームの船員が額にランプをつけたまま上がって来ました。

 「早く灯を消せ」とどなられながら「エンジンルームが水に浸ったからもう駄目だ」と云われ、何と云っても当方は遺骨を十二体抱えて居り身一つではありません。上部甲板から我々の居る一番下の甲板に降りるプリッヂ、艦橋が前にあり、多数の人がどっと降りて来て手摺りまでをふさいでしまいました。前に出られません。本船は殆ど速力を落としエンヂンの音も聞こえなくなりました。船室からは担送患者の助けを呼ぶ声も聞こえますがどうする事もできません。

 いざとなると今まで乗って居た船を離れるのがおそろしいのか前に立ちふさがった者達は仲々海に飛び込もうとしない為に前に出られない。前もって確かめて置いた艦橋の後ろの隙間から身を横にしてすり抜けて手摺りに達する。前の手摺りにつかまって居る一人をボンと押し出してやる。
 飛び込むと云うよりは遺骨を両脇に足で手摺りを蹴り出して舷側を離れる。

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