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輸送船勝鬨丸の最後6 高崎 廣

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通常 輸送船勝鬨丸の最後6 高崎 廣

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2011/8/14 6:49
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 遺骨を在京留守部隊の出迎えに渡して門司市内の宿舎に入る。ジャングルから出て来たので内地女性が皆奇麗に見える。余り化粧もして居ないのに道の向側を通っても所謂脂粉の香りと云うのか女の匂いがする浅間しい事だなと思う。

 留守部隊は最早近衛ではないので世田谷駒場の部隊で慰霊祭を終わり二度と帰れるとは思ってなかった自宅に帰る。

 大本営は三宅坂と思って居たのが市ヶ谷にあり出頭して大隊本部から大本営宛の書類があったが雑のうの仲にシンガポールで買った石鹸や革製品と共に入れて居たが船が沈没して遺骨を持って泳ぐのが精一杯で流してしまったと報告する。

 アンダマンから良く還って来たものだと感心される。正午になり昼食を食べさせてくれる様に頼むも断られる一般の雇員、事務員等多数の人が食堂に居るのに遠来の客になんたる仕打ちぞや。今や原隊も近衛でなくなった悲哀をかみしめる。

 帰りに銀座四丁目の外食券食堂に軍服姿で並んで居ると同情されて一番前に出してくれる。戦友の留守宅を尋ねて現地の苦労をお伝えする。
 十二月始め門司に出頭する様呼び出しの電報来る。今度ばかりは万が一つにも無事帰れるとは思われず覚悟を決める。併し一度は家にも帰えれたし家族にも会えた。今も遠くアンダマン島に苦闘されてる戦友をおもえば何も思い残すことはない。此れも一重に戦友の遺骨が護ってくれたものと考えずに居られません。
 東京駅発東海道線で門司に向かう。

 戦時中公表されなかったが、近畿東海地方に東南海地震が起こり、清水の街が火災で燃えて居る静岡以西は鉄橋が不通との事、静岡の従姉妹の家に一泊し翌日身延から中央線で名古屋に廻り門司に着くも船は三池炭鉱港に行っていてやっと追いつく。

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