東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その3 大正生まれの Y
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東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その1 大正生まれの Y (編集者, 2008/5/20 20:43)
- 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その2 大正生まれの Y (編集者, 2008/5/23 8:42)
- 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その3 大正生まれの Y (編集者, 2008/5/26 8:25)
- 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その4 大正生まれの Y (編集者, 2008/5/29 10:07)
- 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その5 大正生まれの Y (編集者, 2008/5/31 9:19)
- Re: 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その6 大正生まれの Y (編集者, 2008/6/5 8:11)
- Re: 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その7 大正生まれの Y (編集者, 2008/6/7 8:04)
- 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・その8 大正生まれの Y (編集者, 2008/6/11 7:59)
- Re: 東京の小学生が見た「ニ、ニ六事件」・最終回 大正生まれの Y (編集者, 2008/6/15 8:36)
編集者
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(10)正午にあるはずのラジオのニュースが午後一時過ぎにあった。
―――よくは憶えていないが、内容は、およそ下記のようなものであったと記憶している。
「臨時ニュースを申し上げます。―――につづいて
陸軍省発表。麻布第一連隊の主力部隊が本日未明から早朝にかけて首相官邸、陸軍省、参謀本部、国会議事堂を占拠、岡田啓介首相(注1)、斉藤 実(まこと)内大臣(前首相)、高橋是清蔵相、渡辺錠太郎陸軍教育総監、鈴木貫太郎侍従長が事件進行中に志望または重傷を負った模様であります」(注2)
「陸軍省は本日午前9時か威厳司令部を設置、同時刻に開眼指令官令により戒厳令を発令しました」
「戒厳令の対象となる地域は次の通り。
・宮城周辺、東京市全区、東京市近隣の市町村、東京府下各郡部、
・警備上必要となる東京湾周辺(千葉県、神奈川県、静岡県下の各警察本部に通知済み)
・戒厳令下にある各地区は、本日より午後7時以降、翌朝午前下地までの外出を禁止すること。
・戒厳地区には地区警察署、同派出所(交番)これ以外にも軍の臨時警備所、警察署の臨時派出所を設置しますので公務、民間人の緊急用務外出については派出所等に出向き、(イ)目的地、(ロ)用件、(ハ)帰宅時刻等を説明、証明書を受領し、道中検問を受けた際は提示してください。」
・なお、内務省の発表としては、首相が重傷に付き本日午前9時以降首相臨時代理に後藤文夫内務大臣が就任、内務大臣も兼務することになりました。
Y氏による(注)
(注1)翌々日、本人ではなく、兄を誤射したものと判明
(注2)実際は鈴木侍従長が重傷で生存していた以外は岡田総理の誤射を含め全員射殺により即死、実際には常時各私邸を警備に当たっていた正規兵2名巡査3名も射殺され死亡者は9名で合った。
(注3)決起軍が占拠中の陸軍省が機能して国民に対して命令をだしているのも変な話であるが、現在でも分からぬ。
(11)なお「引き続き申し上げます。」につづき、下記のごとき内容の放送もあった。
・陸軍大臣から決起部隊に対する大臣命令を放送するよう逓信省を通じて日本放送協会に指示がありましたので本文を朗読いたします。
・『決起部隊の誠意は天聴に達せられてあり、よって旗下決起部隊は陸軍が派遣する首都圏戒厳部隊と合流することになる。旗下の各部隊長はよく部下を掌握し、現占拠地区から移動せぬよう命令する。夕食及び翌日の食事は事前に有線連絡等により通知した上で軍用車で配給する。旗下の各部隊長は日常生活の面で市民生活に迷惑をかけぬ範囲で行動し、可能な限り市民を近づけぬ様。守備についても徹底されたい。戒厳部隊の合流は明日又は明後日の予定であり、無用の混乱を招かぬよう現地点からの移動を厳禁する』以上であります。」