日ソ海空戦秘録 菊池金雄 4
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日ソ海空戦秘録 菊池金雄 (編集者, 2013/1/24 8:54)
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編集者
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那和陸軍少尉の証言
十日十二時半頃、朝食抜きで腹ぺこ、もう敵機も来ないと見て昼食とる。平素高粱入りのご飯だが今日は白米にする。午後一時頃になって機関故障のため船底がザザザザと砂地に乗り上げたような音がして座礁してしまった。錨を降ろしてこれ以上岸の方へ流されない様にして機関部員が必死に修理に当る。この間、海防艦一隻が沖を南下しているのを見て救難信号を送るも無視してそのまま通過、やがて地平線の彼方に消える。甲板には家財道具らしき物を積んでいるのが見えた。
次に北上して来た第八十二号海防艦が近寄り、ロープで本船を引っ張ったが動かず、満潮を待って、やっとエンジンが復旧。午後三時頃船が少しずつ動き出し、海防艦がやっと本船を沖の方へ曳航して航行が可能となった。同艦の任務は羅津脱出船の護衛で、本船が最後の脱出船であることを確認の上、本船の護衛体制に入り、南方への沿岸航行を再開した。(私は、この時間帯は終夜の激務のため仮眠中で記憶欠落)
第八十二号海防艦被雷~轟沈
正直なところ、私は「若し本船がやられても、同航の海防艦が救助してくれる」との安心感が去来した。ところが、清津沖付近に達したとき、ソ連雷撃機編隊が追撃してきたので、両艦船で激しく海、空戦闘を展開。本船は敵機二機撃墜したが、同海防艦が敵機三機撃墜後、不運にも、あっという間に被弾轟沈したため、向日丸が生存者を救出するなど波乱万丈な避航を余儀なくした。
那和陸軍少尉の海防艦轟沈目撃証言
午後四時頃ソ連雷撃機九機の空襲があり、私はこの生々しい戦闘を甲板で終始観察していたので、今でもはっきり脳裏に焼きついている。
敵の指揮官機が海上に煙幕を張って 横一列に並んで飛んでくる雷撃機編隊が一瞬見えなくなったと思うと その煙幕の中から出た雷撃機は すでに魚雷を発射した後で、向日丸のマストをかすめるように 陸地の方向に飛び去って行った。 間もなくドカンという音がして 目の前の海防艦が轟沈。 その様は 70~80メートルもあるかと思うほどの水柱が上がって 一瞬、艦が見えなくなり
水柱が滝のように落下した後には艦首を上にして垂直に立った艦の姿が現れ、ぐんぐんと海に没した。(この場面は那和少尉イラスト参照)艦影が見えなくなると同時に脳裏にはしったものは 間もなく向日丸も同じ運命を辿るとの思いだった。 ところが海岸のほうで魚雷の爆発するのが3箇所位見えたが、向日丸の船底をくぐり抜たり 当たり外れたものかと思った。何故かと考えたら、向日丸はソ連機の来襲で、積荷を中断のまま緊急出港したため喫水が浅いのが幸いしたのではなかったかと思う。
(私菊池は、この時間帯は通信室での当直中で、敵機との交戦場面は見ていないが、船橋から終始対戦状況や、海防艦の轟沈情報も入手し、内心被弾時の脱出を考えていたが、被弾のショックが無いので再三船橋に状況確認結果・・・敵機の退散情報もキャッチしていた)