[No.77]
Re: どうか『米原万里』を読んでください!
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投稿日:2010/05/04(Tue) 11:32
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地元の図書館にリクエストしておいた万里の「発明マニア」を読んでみました。世間知らずのあっしは大体万里にこんな著書があったことさえマッタク知りませんでした。おそらく「週刊毎日」の読者だったら読んでいたのでしょうが、週刊誌を読む習慣のないあっしは、万里にこんな面白い作物があること、万里が世界に比類なき発明王であったことなどを知り、大変おどろきました。
本についてはまずその厚さに驚きます。なんと400ページ以上もあります。彼女の本は文庫になったのしか読んでないせいか余計おおきく感じられます。一つには、文中に新井八代、つまり万里のイラストがふんだんに入っているせいもあるでしょう。(たいへん上手で、たとえばビン・ラディンなどそっくりです)
スゴイのは目次で見ると、これが万里の亡くなる2006年5月までつづいていることです。連載が始まった2003年にはたったの7編でしたが、よく04年には49編も書いており、その翌年の05年にも48篇と前年のペースを維持。さらに亡くなる06年にも、15編を書き残しています。総計119編にもなります。
内容も読者の期待を裏切らない、万里らしい、サービス精神に徹したものです。たとえば「男女参画的便器」、「バイアグラも顔色を失う無敵の性欲増進法」「避妊具の、本来の用途とは異なる使い方」などのタイトルをみれば十分でしょう。
ただ56歳という若さでこの世を去った彼女の人生を思うと、「寿命倍増プログラム」「「人類の悲願不老長寿で一儲け」「天国行きの片道切符」などのタイトルが痛々しい。
傑作なのは49ページにある、Presidents of the United States of Americ(National Museum of American History)で、42代はクリントン、43代はブッシュの写真はいいとして、45代のところにはちゃっかり万里自身の写真が並び、45th President Chou Mei Lai(2013〜2021)★というキャプションが入っている。
44代は毛沢東にそっくり、そこで写真を見ていたイラストの友人が「44代大統領って、毛沢東に似てませんこと?」とたずねると、それを受けた万里らしいイラストの女が「あら、ご存じないの。ブッシュ以後はしばらく中国系の大統領が続いたのよ。」と答える。それで、45番目に万里が出てきた理由も頷ける仕掛けになっているようだ。
あの世が現住所になってしまった万里に「あの世の人捜しを請け負う探偵会社」という奇抜な『発明』がある。全文は紹介できないが、213ページのイラストが面白い。
万里らしい人物に係員が、ここに会いたい方の写真を貼り、俗名、戒名、没年、享年などを記入してください、などいう。手続きがおわり3日たつと、くだんの係員は、当社のPCで調べたところ、母上は天国に、父上は地獄へお出でと判明しました。あなたはどちらへ?両方だと、料金は倍になりますなどたわけた事を云い出し、聞いている万里は思わず口あんぐり。
ということは、この会社に連絡さえつけば、万里ファンが万里に会うことだって夢ではないかも。(^_-)-☆
★もし、任期が2013年から2021年とすると、2006年に死去した万里は、あの世での就任になる。また近未来の2013年になれば、影の大統領としてアメリカや、世界を実際に動かしてくれるかもしれない。日本についても、好影響があり、再び三度『日はまた昇る』ように、なるかも知れない。(^_-)-☆